RSDとは?具体的な症状や治療方法について弁護士が解説!

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

「RSDとは具体的にどのような症状を指すの?」
「交通事故に遭いRSDと診断された場合の後遺障害等級は何級?」

RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)とは、交通事故などの外傷が原因で発症する激しい疼痛のうち、主要な神経損傷を伴わないもののことです。

画像検査で神経損傷等の疼痛の原因が分からないため、後遺障害の等級認定の判断が難しいとされています。

本記事では、RSDの概要として症状、治療法のほかに立証方法、RSDの症状に該当する後遺障害等級、後遺障害等級の認定を成功させるためのポイントをご解説します。

1.RSDとは

1.後遺障害等級7級の認定基準となる症状とは?

RSDについて、症状や治療法、症状の立証方法を具体的にご説明します。

(1)RSDの特徴的な症状

RSDとは、反射性交感神経ジストロフィー(Reflex Sympathetic Dystrophy)の略称です。

「ジストロフィー」とは、栄養異常・形成異常などの症状を指す言葉です。

また、交感神経とは高等脊椎動物の自律神経系を構成する神経で、心臓の働きの促進、血管の収縮、胃腸の働きの抑制、瞳孔の拡大などの作用があります。

交通事故で外傷を負った場合、怪我を治そうと正常な交感神経反射が起こり、出血を止めたり、余分な膨張を防ぐために四肢の血管が収縮したりします。

しかし、怪我が治癒したにも関わらず血管が収縮を続け、結果的に血流不足となり皮膚が赤く熱くなったり疼痛の症状が現れたりするケースがあります。

これが、RSDと呼ばれるものです。

また、近年では、RSDのような特異な慢性疼痛をCRPS(Complex Regional Pain Syndrome)と呼ぶようになってきています。

明らかな神経損傷がないものについては、CRPSのタイプ1と呼称されます。

(2)治療法

RSDにおける治療法の代表的なものとして、以下のようなものがあります。

・神経ブロック療法
・副腎皮質ホルモン
・薬物療法
・温冷交代浴
・理学療法

RSDの受診科目は、麻酔科、神経内科、整形外科などが該当します。

RSDは、明確な画像所見が得られない場合が多く、被害者自身の自覚症状が基本となります。

少しでもRSDの可能性を感じられた方は、早急に主治医にご相談ください。

(3)RSDの診断基準

先ほどもご説明しましたとおり、RSDは基本的に被害者自身の自覚症状が基本となるため、判断が難しいとされています。

特に、臨床医学におけるRSDの診断基準と、賠償における認定基準には差があります。

これは、前者が「これから治療を開始するか否か」を判断する局面であるのに対して、後者が「今後も含めた賠償金を決定する」局面であることによる差と言われています。

以下では、まずRSDの臨床上の診断基準の例を見てみましょう。

#1:診断基準

RSDの診断基準はいろいろな種類がありますが、従来Gibbonsの診断基準の利用が多く用いられてきました。

以下が、GibbonsのRSDスコアです。

【GibbonsのRSDスコア】
①疼痛異常・過敏
②灼熱痛
③浮腫
④皮膚色や発毛の異常(蒼白・光沢・脱毛)
⑤発汗異常(過多・過少)
⑥皮膚温度の異常(低下・上昇)
⑦XP上の骨萎縮像(ズディック骨萎縮)
⑧血管運動障害(レイノー現象・冷感・紅潮)
⑨骨シンチグラフィーの異常所見(集積像)
⑩交感神経ブロックが有効

陰性=0点、不明瞭=0.5点、陽性=1点でカウントし、合計点が2.5以下であればRSDではないとし、3〜4.5であればRSDの可能性あり、5以上をRSDと診断します。

#2:痛みスケール

RSDは灼熱痛とも呼ばれる猛烈な痛みが特徴です。

この痛みのスケールを表す方法としては主に、以下の3つがあります。

・NRS(数値的評価スケール)
・VRS(カテゴリースケール)
・フェイススケール

NRSとは、全く痛みがない状態を0、患者自身が想像できる最大の痛みを10として、現在の痛みがどのくらいのものかを表すスケールです。

VRSとは、痛みを①無し、②軽度、③中程度、④強度、⑤最悪の5段階として現在の痛みがどのくらいのものかを表すスケールです。

フェイススケールとは、痛みを6段階の顔の表示として、現在の痛みに当てはまる顔を患者に選択させることで痛みの程度を表すスケールです。

(4)後遺障害の認定要件

上記のように、RSDと診断されるための基準は様々です。

しかし、医師が「RSD」と診断しただけでは、後遺障害として認められません。

一般的にRSDが後遺障害として認められるためには、以下の3つが必要とされます。

①関節拘縮
②骨萎縮
③皮膚変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)

臨床上重要視されていない骨の萎縮が要件に含まれているのが特徴で、これが認められるかがポイントとなります。

2.RSDの症状に該当する後遺障害等級

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交通事故において、RSDは神経症状ではありますが、その症状の強烈さから「特殊な性状の疼痛」と言われます。

そのため、RSDに症状に該当する場合には、単なる神経症状の後遺障害ではなく、以下の等級が認められる可能性があります。

後遺障害等級 自賠法施行令別表第二 労災保険の認定基準
第7級4号 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 軽易な労務以外の労務に常に差し支える程度の疼痛があるもの
第9級10号 神経系統の機能または精神の障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 通常の労務に服することができるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの

RSDの症状を後遺障害等級として認定してもらうためには、末梢神経検査装置、サーモグラフィー、レーザードップラー検査などの検査を行い、検査結果を後遺障害診断書に記載してもらうことが重要となります。

特に、先述のとおり、臨床上の診断基準と後遺障害認定のための要件とは整合しないため、場合によっては、後遺障害申請を行うために、検査を依頼する必要があります。

3.後遺障害等級認定を成功させるための2つのポイント

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交通事故において、RSDの後遺障害等級認定を成功させるためのポイントをご説明します。

(1)主治医とコミュニケーションをとる

交通事故に遭い、RSDと疑われる症状が生じた場合は、必ず主治医とよく相談した上で通院頻度や治療方法を決めることが重要です。

後遺障害の申請は、必要な治療を行ったにもかかわらず症状が残存していることが前提となります。

そのため、医師に対してきちんと自覚症状を伝えていないと必要な検査や治療を受けられず、怪我が治らないばかりか後遺障害も認められない可能性が高まってしまいます。

特にRSDは被害者の自覚症状を基に、検査や治療の判断が下されますので、主治医と密にコミュニケーションをとることが鍵となります。

交通事故の直後から自覚症状をノートなどに記録しておいたり、専門家である弁護士に症状の相談をすることも一つの手段と言えます。

(2)医学的・客観的な証拠を集める

RSDは、神経損傷が明らかではないものですから、客観的証拠が乏しいことがほとんどです。

しかし、後遺障害と言えるためには、その自覚症状を裏付ける必要があります。

主治医や弁護士と相談の上、ご自身の症状に合った検査を受けたり医師に検査結果や症状などをしっかり記載してもらったり、工夫をする必要があります。

#1:適切な検査を受ける

RSDの自覚症状を医師に詳しく伝え、適切な検査を受けることが重要です。

後遺障害等級認定においてRSDの症状を認めてもらうためには、主に以下のような検査を受ける必要があります。

・末梢神経検査装置
・サーモグラフィー
・レーザードップラー検査

上でも説明した通り、RSDが後遺障害と認められるためには、①関節拘縮、②骨萎縮、③皮膚変化という3つの要件が必要となります。

特に骨萎縮については、X-P、MRIにより骨萎縮の有無や程度を確認し、皮膚変化については、サーモグラフィーや発汗テストの他に、健康な方と比較して撮影した皮膚のカラー写真などを撮りましょう。

#2:医師からの診断書をもらう

RSDの後遺障害等級認定を受けるために、適切な検査を受けた上での結果や症状の詳細を書いてもらった後遺障害診断書を医師に作成してもらいましょう。

後遺障害等級において後遺障害診断書の提出は必須であり、適切な後遺障害等級を認めてもらう上で重要な役割を果たします。

後遺障害診断書は医師によって作成されますが、医師が必ずしも後遺障害の認定要件に詳しいとは限りません。

そのため、記載内容を確認し、不足や語弊があれば医師に修正を依頼する必要がある場合もあります。

しかし、交通事故やRSDなど後遺障害等級に精通していないと、どのように修正すればいいのかがわからないでしょう。

ですので、後遺障害診断書を作成してもらう際は、専門家である弁護士に一度相談することをおすすめします。

後遺障害診断書は、後遺障害等級を認定するための判断材料となる重要な書類ですので、慎重に作成することが大切です。

まとめ

RSDとは、交通事故などの外傷が原因で発症する激しい疼痛を指し、通常神経損傷を伴わないとされています。

また、被害者自身の自覚症状が基本となることから、後遺障害等級の認定が難しいともされています。

本記事では、RSDの詳細として具体的な症状や治療方法、後遺障害等級として認めてもらうためのポイントなどをご説明しました。

弁護士法人みずきでは、立証の困難なRSDの後遺障害等級認定や後遺障害等級に応じた適切な賠償金請求に取り組んでおります。

RSDや後遺障害等級など、交通事故に関するお悩みは当事務所へご相談ください。

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執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
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