離婚調停の実際③ ~離婚調停の終わり方~

ここまで、2回にわたって離婚調停の進み方やその内容をご紹介してきました。

今回は、離婚調停が終わるときのお話です。

調停は、あくまでお話し合いの場です。

つまり、最終的には双方の「合意の形成」を目指すことになります。

裁判でも、当事者の合意による解決である「和解」がありますが、「和解」ができなければ「判決」が下されることになります。

判決とは、裁判官による強制的な解決策です。

しかし、調停には、「判決」は存在しません。

では、調停はどのように終了するのでしょうか。

大きく分けると、調停成立による終了と調停成立以外の終了の二通りがあります。

1.調停成立による終了

争点となっている事項について、お話し合いの結果双方が合意できれば、合意した内容で調停が成立します。

調停が成立する場合には、お互いの合意内容をまとめた調停調書という書類を、裁判所が作成します。

なお、調停成立は、必ずしも離婚が成立する場合に限られません。

つまり、便宜上「離婚調停」と呼んでいますが、正確には「夫婦関係調整調停」といい、夫婦関係の調整を話し合った上で、離婚となる場合もあれば、円満(離婚しない)という場合もあります。

(1)離婚が成立する場合

多くの場合、「本日、調停離婚をする」と、調停成立をもって離婚がなされます。

この場合、戸籍に調停離婚であるという記載が残ってしまうため、これを避けたい場合には調停の場で離婚届を作成し、それを一方が役所へ届出するということを取り決めることもあります。

ただ、この方法では提出がなされなかったり、記載不備で不受理となってしまったりすると離婚ができなくなってしまうので注意が必要です。

(2)離婚せずに同居をする場合

円満調整がうまくいき、別居していた夫婦が同居を再開する合意で終了することがあります。

この場合、同居開始時期だけでなく、それに付随する事項の取決めを合わせてすることもあります。

たとえば、ギャンブルが原因となって別居をしていた場合には「競馬をしない」、お酒が原因となっていた場合には「酒量を慎む」等が取り決められることもあります。

(3)離婚せずに別居を継続する場合

離婚の合意には達しないけれど、すぐに同居を再開することも困難である場合、当分の間別居をするという合意に至ることがあります。

多くの場合は、不確定の期間である「当分の間」と定められます。

この終わり方は、夫婦という関係性は続くけれど、法的義務である同居義務は免除されるという形になります。

あくまで、夫婦関係は続いていますので、別居期間といえども他の異性と恋愛関係などになってしまった場合には基本的に「不貞行為」に該当してしまいます。

また、免除されるのは同居義務のみなので、特に定めのない限り婚姻費用の分担も必要となるため、同時に婚姻費用の分担額や、支払方法等が決められることが多いです。

2.調停成立以外による終了

(1)取下げ

この終了の仕方は、調停を申し立てた側だけが可能です。

申立人は、相手方の同意なく、いつでも調停の申立を取り下げることができます。

調停を取り下げると、法的には調停を申し立てる以前の状態に戻ってしまいます。

そのため、調停の申立をして、すぐに取り下げをしてしまうと、調停を行った実績が残らないため、裁判を提起するための要件(調停前置)を充たさないことになってしまいます。

そうすると、調停後に裁判を提起することが困難となりますので、気をつけなければなりません。

もっとも、数回の調停期日を経て、調停が成立する見込みがない場合や、相手方が出頭しない場合など、下記の調停不成立となる事由がある場合には、取り下げを行っても調停前置と認められ裁判をすることができます。

(2)調停不成立

争点となっている事項について、話し合いが平行線を辿ってしまう場合や、相手方が期日に出頭する意思を全く見せない場合など、このまま調停を続けても合意に達することができないと裁判所が判断すると、調停は不成立により終了します。

これを「不調」ともいいます。

これは、当事者の申立てではなく、裁判官および調停委員の判断によるものなので、当事者が調停手続の続行を望んでいても不調と判断されることもあり得ますし、逆に当事者が不調を望んでいても期日が続行されることもあり得ます。

もっとも、基本的には、調停が成立する見込みがあるか否かは、当事者の意向(相手方の主張に対して譲歩が可能か)によることになるので、当事者の意に反して不調となることは少ないです。

(3)当然の終了

もしも、当事者の一方がお亡くなりになる等の事情によって夫婦関係の解消が生じた場合には、話し合いをする相手方がいなくなるため、調停は当然に終了します。

この場合には、裁判所がその事実を知ることが必要なので、早期に裁判所へ報告しましょう。

3.審判離婚はありうるか

婚姻費用や養育費の金額についての調停では、合意の形成ができずに不調となる場合、その後、自動的に審判という手続に移行します。

この審判とは簡易な裁判のようなもので、双方の合意ができなくとも、裁判官が金額や支払い方法を決めるという終了の仕方になります。

では、離婚について、不調になった場合に審判が下されることはあるでしょうか。

結論からいうと、制度上はありえますが、実務上はほとんどありません。

法律上は、離婚調停が不調となった後、家庭裁判所が相当と認めた場合に、一切の事情にかんがみて、申立の趣旨に反しない限度で離婚に関する審判をすることができます。 たとえば、

  • 細かい条件について合意ができてはいないが、概ね離婚をすること自体は合意ができているような場合
  • 夫婦のうちの一方が、正当な理由なく欠席を続け、具体的な話し合いができず、かつ他方の主張が資料からもっともであると認められるような場合

などに、審判によって離婚が成立することがあるといわれています。

しかし、実際はあまり利用されていません。

実際に私も裁判所に審判離婚を求めたことがありますが、応じてもらうことはできませんでした。

理由は大きく分けると2つあると思われます。

ひとつめは、審判離婚の効力の問題です。

離婚の審判は、判決のように裁判官が判断するもので、確定すれば判決と同等の効力が生じます。

しかし、審判の日から2週間以内に当事者から異議が出された場合、審判は効力をなくしてしまいます。

この異議に理由は問いません。

したがって、たとえ離婚の審判がなされたとしても、強制力が強くないため、意味がない場合が多いという欠点があります。

ふたつめは、審判をすべきかどうかの判断があいまいであるという点です。

審判は上で見たとおり「相当と認めた場合に」「申立の趣旨に反しない限度で」行うことができます。抽象的ですね。

離婚とは、婚姻関係という人的つながりを断つという、とても影響力の大きいものです。

そのような大きな影響のあるものについて、第三者が強制的に判断を下すということは、なるべくであれば避けたほうがよいというのが裁判所の考え方です。

したがって、調停離婚が成立しない場合、つまり、何らかの事情で離婚をすることについて合意が形成できていない場合には、審判ではなく、厳格な裁判によるべきだとされているようです。

まとめ

このように、調停の終了といっても、いろいろな形があります。

離婚の成立や、同居の合意ができた場合には、その結果に応じてその後の生活を送ることになります。

他方で、当分の間の別居や、不調という結果となった場合には、その後、現在の婚姻関係をどのようにするかを、よく考える必要があります。

当分の間別居を続け、円満な夫婦関係の再構築を考えるのか、当分の間別居を続け、離婚を考えるのか、不調の後、直ちに裁判を起こして離婚を求めるのか、不調の後、少し期間を置いてから裁判を起こして離婚を求めるのか、不調の後、少し期間を置いてから再度調停をやり直して話し合いによる離婚を考えるのか、採りうる手段はさまざまです。

そして、これらの手段のどれが最良の選択肢であるかは、必ずしも法律によって定まるわけではありません。

具体的な人間関係や、諍いの原因、子どもとの関係など、多くの要因があります。

調停の終わり方については、離婚に関する法的な手続を把握した弁護士の助言を要することも多くあります。

調停の進め方、終わり方でお悩みの方は、一度当事務所の弁護士へご相談ください。