特別催告状の支払期限を過ぎてしまったら?保険料を支払えない場合の対処法

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「特別催告状に記載されている支払期日までに支払わなかったらどうなるのか?」
「特別催告状が届いても支払いができないときはどうしたらいいのか?」

特別催告状を受け取った方の中には、指定期日内に支払いができそうになく困っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、特別催告状の仕組みや支払期限を過ぎたときの対処法についてご紹介します。

1.特別催告状とは

特別催告状の仕組み

特別催告状は、国民年金保険料が未納の状態が続いたときに、日本年金機構から送られてくる通知で、3段階にわたって発送されます。

特別催告状には、支払期限が記載されており、その期間内に未納の保険料を支払わなければなりません。

まず、最初に送られてくるのは青色の封筒の特別催告状です。

この催告状には保険料の未納があることや支払えない場合の手続方法、無視した場合のリスク(財産の差押えなど)について記載されています。

青色の封筒の特別催告状が届いたにもかかわらず何も行動に移さなければ、続いて黄色の封筒の催告状が発送され、それでも無視を続けた場合、赤色の封筒の催告状が送られてきます。

赤色の特別催告状が届いても無視し続けた場合は、最終催告状に続いて督促状が届き、それでも対応しなければ、財産調査が行われた後に差押予告通知書が送られてきて、最終的には財産が差し押さえられます。

差押えの対象には預金や給与も含まれており、これらが差し押さえられてしまうと生活に大きな影響を受けてしまいますから、差押えを受ける前に対応する必要があります。

2.特別催告状の支払期限が過ぎたときの対処法

特別催告状の支払期限が過ぎたときの対処法

特別催告状の支払期限が過ぎた場合でも、通知の記載内容に沿って対応できれば大きな問題に発展しません。

保険料の支払いが困難な場合は、最寄りの年金事務所や市区役所・町村役場の国民年金担当窓口に相談することが大切です。

特別催告状にわざわざ保険料を支払えない場合の対応について記載されているということは、支払いが困難な方に対する救済措置を用意しているということです。

具体的には、分割払いや免除・猶予など、支払いの負担を軽減するための手続が設けられています。

特別催告状を受け取ってしまったら、担当窓口に相談した上で支払いの意思があることだけでも伝えておきましょう。

3.借金の返済で保険料の支払いができない場合の対処法

借金の返済によって支払ができない時の対処法

金融機関からの借金があり、その返済に追われて保険料の支払いができないときは、債務整理を検討してみましょう。

債務整理とは、借金の減額や支払いスケジュールの変更などによって返済の負担を軽減する手続です。

主に債務整理には、以下の3つの方法があります。

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

借金の返済の負担を軽減したい方は、これらの方法のうち、どの手段を利用できるかチェックしてみましょう。

(1)任意整理

任意整理とは、債権者と、将来利息のカットや分割返済などの交渉をして和解することで返済の負担を軽減する方法です。

そのまま支払いを継続すれば発生していた利息をなくし、また、5年程度で完済する返済計画を組むことで、月の支払額及び支払総額の減額を目指す手続です。

任意整理のメリットは、返済の負担を軽減しつつ、所有している財産が処分されない点や家族・勤務先に知られるリスクを抑えられる点が挙げられます。

一方で、生活費にある程度の余剰がないと、返済を続けることができず、任意整理による解決は難しくなってしまいます。

現時点での残債務額を60で割ってみて(5年での分割を考えてみて)支払いの継続が難しそうだという方は、次に説明する個人再生や自己破産を検討しましょう。

(2)個人再生

個人再生は、裁判所に借金の返済が困難であることを認めてもらった上で、税金・国民年金保険料等一部の債務を除き、一定の割合で減額した借金を原則3年で返済する再生計画案の認可決定を受け、そのとおりに返済することにより、借金の残額の支払いを免除してもらう手続です。

任意整理と比較すると、元本部分の減額が可能であるため、返済の負担が大きく軽減される可能性があります。

また、個人再生は、破産でいうところの免責不許可事由(借金の免除認められない理由)があったとしても、それだけで再生計画の認可が受けられなくなることはありません。

一方で、個人再生は、債務総額が5000万円を超えている場合には利用できません。

また、官報に個人情報が掲載されること、保証人が保証債務の請求を受けてしまうことはデメリットといえるでしょう。

さらに、ローンが残っている自動車は、ほとんどの場合債権者に引き揚げられてしまいます。

このように、いくつかのデメリットはありますが、債務額を大きく減額できる手続ですので、未払いの保険料を支払う余裕を作れる可能性があります。

任意整理が困難な場合は個人再生を検討してみるのもよいでしょう。

(3)自己破産

自己破産は、裁判所に借金の返済が困難であることを認めてもらった上で、税金・国民年金保険料等一部の債務を除いた借金の支払義務の免除(免責)をしてもらう手続です。

消費者金融等の借金については返済義務がなくなりますので、余裕を持って未払いの保険料を支払うことができます。

ただし、一定以上の価値のある資産については手続中で売却され、債権者へ配当されることになってしまいます。

また、個人再生と同様に官報に個人情報が掲載されたり、保証人が保証債務の請求を受けたりすることになります。

以上のようなデメリットはありますが、借金については全額の支払義務がなくなる効果は大きいです。

まとめ

特別催告状が届いたら、早急に対応する必要があります。

特別催告状は3段階に渡って発送されますので、青色や黄色の封筒を受け取った方は次の色の封筒が届く前に、赤色の封筒が届いた方は最終催告状が届く前に専用窓口に連絡し、相談するようにしましょう。

もしそのほかの借金の返済があるために保険料の支払いが困難な場合は、債務整理を検討してみてください。

どのような手段を選択できるのか弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人みずきでは、債務整理に関する相談を無料で受け付けておりますので、借金でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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