FC契約に伴う競業避止義務

<競業避止義務とは>
競業避止義務とは、主に、フランチャイジーが、フランチャイザーと同種の事業を一定の期間、一定の場所で行うことを禁止する旨の条項を指します。

フランチャイズ契約において、この競業避止義務が定められる目的は2つあります。
1つは、フランチャイザーの営業ノウハウ等の秘密情報の保護であり、1つは、フランチャイザーの商圏、顧客の確保です。このような目的があるため、通常のフランチャイズ契約では、競業避止義務条項が定められています。

<フランチャイズ契約終了後の競業避止義務>
フランチャイズ契約では、フランチャイズ契約終了後も、旧フランチャイジーが競業避止義務を負う旨を定めた条項が定められる場合があります。

上記のように、契約終了後の競業避止義務に関する規定が定められるのは、フランチャイザーの秘密情報の保護と商圏、顧客の確保というフランチャイザーの利益を確保する点に目的があります。他方で、旧フランチャイジーが事業を行うことを一定の範囲で制限するわけですから、旧フランチャイジーの職業選択の自由や営業の自由を制限することになります。このように、競業避止義務規定は、フランチャイザーの利益とフランチャイジーの利益が対立するため、フランチャイズ契約終了後の競業避止義務を定めた条項が有効かどうかが問題になります。

契約終了後の競業避止義務規定の有効性は、フランチャイザー側の利益がどの程度保護に値すべきか、他方、旧フランチャイザーに対する制限がどの程度のものか、という、フランチャイザーとフランチャイジーの利益を比較して判断することになります。裁判例では、フランチャイザー側の利益がどの程度保護に値すべきか、という点について、競業避止義務規定の目的がどの程度合理性を有するか、という観点から判断されています。他方、旧フランチャイジーに対する制限がどの程度のものか、という点については、競業避止義務規定が、旧フランチャイジーの営業が禁止される①場所、②期間、③事業の種類から判断されています。また、これらの要素に加えて、裁判例によっては、競業避止義務規定を担保するための手段の有無や、契約終了に至った経緯、原因を考慮する裁判例もあります。

<競業避止義務規定に違反した場合の効果>
競業避止義務規定に違反した場合、旧フランチャイジーは、損害賠償義務を負うことがあります。この損害賠償額は、フランチャイズ契約中に、違約金として予め定められていることが多くあります。
また、場合によっては、旧フランチャイジーが新たに始めた競業行為の差し止めが認められることもあります。