加盟店は事業閉鎖後にどのような措置をとる必要があるか

(1)残債務の精算

フランチャイズ契約が期間満了や本部と加盟店の合意、解除等により終了したとき、まず、加盟店は、これまでのフランチャイズ契約で発生した権利義務関係で未精算のものを清算する必要があります。

例えば、未払いの商品の代金、未払いのロイヤリティなどが考えられます。

フランチャイズ契約締結時に、加盟店が本部に対して保証金を差し入れている場合は、未精算、未払いの金銭を保証金に充当し、残額の保証金の返還を受けるといったかたちで精算をする場合もあります(※)。

※加盟店が本部に対して債務が残っている場合、加盟店側から未払いの債務を保証金に充当するように請求することは基本的にできません。

(2)看板、商標、マーク等の撤去

フランチャイズ契約は、ロイヤリティという対価を支払い、本部の標章、サービスマーク等を利用して事業を行うものです。

フランチャイズ契約が終了することにより、これらの標章、サービスマーク及び経営ノウハウ等を使用して事業を営む権利が消滅することになります。

したがって、フランチャイズ契約が終了した以上、本部の使用する標章、サービスマーク及びこれらの入った看板等を撤去する必要があります。

また、店舗での事業を営む業態でこの店舗が賃貸物件である場合には、店舗を元の状態に戻すことが必要になる場合があります(原状回復義務)。

マニュアル等の返還

フランチャイズ契約は、上記のような本部の標章、サービスマーク等を利用する権利を得られる他、本部の経営ノウハウを利用して事業を営む権利を得るものでもあります。

したがって、フランチャイズ契約終了により、本部から提供されたノウハウを利用する権利も消滅します。

本部から加盟店に対して、マニュアル等が交付されている場合には、このマニュアルに経営ノウハウが記載されていますから、これらのマニュアル等を本部に返還する必要があります。

(3)その他

その他、加盟店は、フランチャイズ契約終了後も、フランチャイズ契約によって得たノウハウ等を利用して同種事業を行うことや、本部の秘密情報を利用し、開示することが禁止されます。

フランチャイズ契約書において、契約終了後も競業避止義務や、秘密保持義務を負う条項があることが多いですが、仮に契約書にこのような記載がない場合であっても、フランチャイズ契約を締結した当事者として一定程度の競業避止義務、秘密保持義務を負うと考えられます。