フランチャイズの海外進出のメリット・デメリットは?進出時の注意点

「フランチャイズ事業を海外に広げるメリットとデメリットは?」
「海外に進出する際に検討すべき事項について知りたい」

フランチャイズチェーンを展開する本部事業者の中には、このような疑問をお持ちの方もいると思います。

海外にフランチャイズ事業を展開することで、海外マーケットへの参入による収益の拡大などが見込めます。

しかし、海外展開を成功させるためには入念な準備が必要です。

本記事では、フランチャイズチェーンの海外進出を決める前に知っておきたい諸問題について解説します。

1.フランチャイズの海外進出のメリット・デメリット

現在、多くの日本企業が海外チェーン店の展開を行っており、フランチャイズの海外進出は大きな関心事となっています。

以下では、フランチャイズ展開を海外に広げるメリットとデメリットについてご説明します。

(1)メリット

日本企業がフランチャイザー、海外企業がフランチャイジーとなることにより、次のようなメリットがあります。

海外展開するメリット

  1. 資本の規模が小さくても、海外企業の資金、人材を利用して店舗展開できる
  2. 海外マーケットでのロイヤリティの徴収が期待できる

(2)デメリット

他方、以下のとおりのデメリットもあるといえます。

海外展開するデメリット

  1. 加盟店が経営ノウハウ等を流出させる可能性がある
  2. 加盟店が経営不振に陥った場合、その対応に、日本の加盟店への対応よりも経費と労力がかかる
  3. 不良な加盟店によって、本部のイメージが悪化する可能性がある

たしかに、海外マーケットの獲得は非常に魅力的ですが、上記のようなリスクもあります。

海外展開で成功するためには、十分な情報収集と、念入りな計画・準備が求められます。

2.海外進出時の問題点

海外進出を検討する前には、以下の点について情報を収集し、対策を講じなければなりません。

海外進出時の問題点

  1. 法規制・知的財産
  2. 社会・経済情勢
  3. 合弁先企業、加盟店、取引先の選定
  4. 品質保証

順にご説明します。

(1) 法規制・知的財産

海外には、当然、日本とは異なる法規制が存在します。

法律の他にも、条例や規則、現地の商慣習など、さまざまな制約のもとで事業を行わなければなりません。

また、税制も異なります。

日本では課税されていないところに税負担が課されている場合も多く、さらには同じ国の中でも地域によって適用基準が異なっている場合もあり、十分な事前調査が必要です。

以上のことは、フランチャイズに限らず、日本企業の海外進出の際には必ず乗り越えなければならない壁ですが、フランチャイズの海外展開で気を付けなければならないのが、知的財産(特にフランチャイズシステムや経営ノウハウ、独自の技術力など)の保護です。

進出国における商標や特許登録などを欠かせば、自社のノウハウや製品が流出し、模倣され、さらには劣悪な模倣品についての製造物責任を消費者から追及されてしまうリスクも発生します。

しっかりと商標や特許登録をしていても、違法に商標や特許を侵害する者が現れることもあります。

自社のブランド価値を維持し、自社の権益を保護するためには、弁護士に相談した上で、法に則った厳しい対応を速やかに行うことが求められます。

(2) 社会・経済情勢

海外においては、日本のように政情の安定していない国や、宗教を背景とする国内対立を抱えている国などもあり、その社会・経済情勢はさまざまです。

突然の経済危機に見舞われる可能性も考えられます。日本ではおよそ予想できないような事態が発生するリスクと隣り合わせなのです。

海外展開を行うにしても、その進出先の国を選ぶ際には、その国の最新の社会情勢や経済情勢を把握し、その後もこれらの動静にアンテナを張り続けている必要があります。

そして不測の事態が発生した際に、迅速かつ柔軟に対処できるように各種の契約条項を準備しておく必要があります。

(3) 合弁先企業、加盟店、取引先の選定

日本企業の海外展開の際には、現地企業と合弁会社を設立して行われる場合が多くあります。

現地での販路確保などのためには有効な手法となりますが、合弁先の企業の選定は、経営パートナーの選定であり、事業の成功の鍵を握る非常に重要な事項です。

そのほか、現地企業を加盟店としてフランチャイズ契約を締結する場合や、進出先での原料の調達のために現地企業を取引先とする場合など、現地企業とのさまざまな契約の際には、日本で行うよりもより慎重に調査をする必要があります。

信頼して選定した合弁先企業や加盟店が、本部の経営ノウハウやオリジナルの技術を外部に流出させてしまったという事例もあるようです。

海外進出において現地企業と合弁会社を設立した場合に、直営店の展開による手法が多く採られるのは、加盟店として海外企業を選定することの難しさを物語っているとも言えるでしょう。

(4) 品質保証

海外企業の選定の問題ともつながりますが、フランチャイズの海外展開においては、提供する商品の品質保証も大きな懸念事項となります。

日本企業のオリジナル商品を海外企業に供給し、これを一定のエリアで独占的に販売させる形の契約では、海外企業は日本から供給される商品を販売するだけですので、品質保証の点で大きな問題が生じるリスクは低いといえます。

しかし、フランチャイズのように、商標の貸与や販売手法のノウハウの供給の対価としてロイヤリティを徴収する形の契約の場合には、本部の看板を背負って立つ加盟店が劣悪な商品を供給することによって、本部のブランド価値が低下するリスクが伴います。

そのため、本部は、経営ノウハウを緻密にマニュアル化したり、その土地に適したローカライズ(現地化)を行ったりすることにより、海外加盟店をしっかりと統治しなければなりません。

さらには、提供する経営ノウハウが現地の加盟店でしっかりと実践されているのかを調査・確認できるシステム作りも必要となります。

まとめ

以上述べてきた問題点のほかにも、資金確保、人材確保、移転や撤退の困難性など、フランチャイズの海外展開には非常に多くの問題が存在します。

もちろん、コンサルや海外展開の支援を行っている関係機関を利用することで、これらの負担は大幅に軽減することができます。

しかし、現地法人の設立や、現地での契約書の作成、商標・特許権侵害への対応、現地の税制度の適用範囲の検討など、さまざまな法律問題に直面することは避けられませんので、フランチャイズの海外展開をお考えのフランチャイザーの方は、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人みずきでは、フランチャイズ契約に関する法的問題に数多く対応してきましたので、疑問点や悩みがある場合にはお気軽にご相談ください。

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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