クレジットカードの利用は借金と同じ?支払が滞るリスクと対処法について弁護士が解説
「クレジットカードを利用することは借金と同じ扱いになるのか」
「利用額が払えない場合のリスクや対処法にはどんなものがある?」
クレジットカードの利用について、このような疑問や悩みをお持ちの方もいると思います。
手元にまとまったお金がない場合でも、クレジットカードを利用することで、商品などを購入することが可能です。
また、商品の購入などに利用できる「ショッピング枠」のほかにも、クレジットカード会社から借入れができる「キャッシング枠」もあります。
しかし、クレジットカードは計画的に利用しなければ、返済ができなくなってしまうことも多いです。
返済ができない状態を放置することで、一括返済の請求や法的措置に移行するなどのリスクも高まるため、なるべく早期に必要な対応を行うようにしましょう。
本記事では、クレジットカードの利用と借金の関係や支払が滞った場合のリスクなどについて解説します。
クレジットカードの利用額の支払に困っている方の参考となれば幸いです。
1.クレジットカードの利用は借金になるのか

クレジットカードには、商品などの購入の際に利用する「ショッピング枠」とカード会社から借入れを行うことができる「キャッシング枠」があります。
そして、キャッシング枠の利用はクレジットカード会社からお金を借りていることになるため、明らかに借金ということはわかりやすいでしょう。
これに対して、ショッピング枠はどうでしょうか。
ショッピング枠は、クレジットカード会社が利用額を立て替えて支払い、定められた期日にその利用額をクレジットカード会社に支払う仕組みです。
つまり、ショッピング枠の利用も、一時的にクレジットカード会社に対して借金をしていることと同じであるといえます。
厳密にいえば、マンスリークリアという翌月や翌々月の一括払い方式の場合、金利手数料がかからないので、いわゆる借入とは異なります。
しかし、定められた期日までに利用額の支払ができない場合には、延滞期間が長期にわたることでさまざまな法的リスクも高まります。
結局支払いが困難となり分割払いやリボ払いにすることで、利用額に加えて手数料も支払わなければならなくなるケースも珍しくありません。
これによって、支払の負担が膨らむことがあり、利用金額が大きい場合や利用頻度が高い場合には、知らず知らずのうちに支払負担が多額になることもあります。
なお、キャッシング枠については、貸金業法による「総量規制」を受けることになります。
総量規制とは、年収の3分の1を超える金額の貸付を禁止するものです。
しかし、ショッピング枠は表向きは借入れではなく立替払いであるため、総量規制の対象とはなりません。
そのため、利用限度額まで使い続けることも可能ですが、計画的に利用しなければ支払ができなくなってしまうことも多いため、利用額や利用頻度などを管理することが重要です。
なお、リボ払いの仕組みや利用し続けることによるリスクについては、以下の記事で解説しています。
2.クレジットカードの利用額の支払が滞るリスク

ショッピング枠の利用は、収入の範囲で計画的に利用できる場合には大きな問題とはなりません。
しかし、利用額が大きい場合や利用頻度が高い場合には、収入の範囲を超えてしまい、期日に支払ができなくなることもあります。
利用額の支払ができない状態が続くことで、以下のように段階的にリスクが高まるため、注意が必要です。
- クレジットカード会社から督促を受ける
- 信用情報機関に事故情報が登録される
- クレジットカードが強制解約される
- 利用額の一括支払を請求される
- 訴訟や差押えなどの法的措置に移行する
比較的早い段階でクレジットカード会社に連絡することで、法的な問題に発展しないことも多いです。
しかし、放置することで訴訟や財産の差押えなどに至るリスクが高まるため、収入などを踏まえて支払が難しい場合には専門家である弁護士に相談するようにしましょう。
(1)クレジットカード会社から督促を受ける
期日までに支払ができない場合には、クレジットカード会社から連絡が入ります。
クレジットカード会社からの連絡は、電話の場合もありますが、書面で督促状が届くこともあります。
この時点では、支払の状況を確認する意味合いがあり、すぐにお金を用意して支払を行うことができる場合には、速やかに支払うことで大きな問題に発展することはありません。
しかし、支払の目途が立たないことを理由に連絡や督促を無視し続けることは避けましょう。
クレジットカード会社に早期に連絡することで、支払の猶予や分割払いについて交渉できるケースもあります。
そのため、まずは支払が滞っている理由や今後の見通しについて、しっかりと説明することが大切です。
なお、利用額の支払ができない場合には、クレジットカードの利用が一時的に停止されることがあります。
この措置は滞納している金額を支払うことによって解除されますが、支払を終えるまでは利用できない状態が続くことになります。
さらに、延滞が続くことで、その期間に応じて遅延損害金が発生することにも注意しましょう。
遅延損害金は、期日までに支払ができなかった場合に発生する制裁という側面があり、通常の利息の利率よりも高く設定されていることが一般的です。
そのため、滞納期間が長くなればなるほど遅延損害金も高額になるため、最終的に支払わなければならない金額も膨れ上がってしまいます。
クレジットカードの利用に関して発生する遅延損害金の計算方法やシミュレーションについては、以下の記事もご覧ください。
(2)信用情報機関に事故情報が登録される
支払ができない状態が数か月続くと、滞納している事実が信用情報機関に事故情報として登録されます。
信用情報機関は、加盟している金融機関から顧客の借入れや返済に関する情報の提供を受けてこれを管理し、金融機関から照会があった場合に情報を開示する機関です。
期日までにクレジットカードの利用額を支払うことができないという事実は、その人の支払能力に問題があることを意味し、事故情報として登録されます(いわゆる「ブラックリスト入り」)。
事故情報が登録されてしまうと、その間はほかのクレジットカードの審査や更新にも影響が生じてしまいます。
具体的には、利用停止となっているクレジットカード以外のカードも利用や更新ができなくなる可能性があることに注意しましょう。
(3)クレジットカードが強制解約される
信用情報機関に事故情報が登録されることと並行して、利用額を滞納しているクレジットカードについては強制解約となる可能性が高いです。
クレジットカード会社によっても対応は異なるものの、滞納期間が概ね2か月を経過すると強制解約されてしまうリスクが高まります。
クレジットカードが解約されてしまうと、当然ながらショッピング枠だけでなくキャッシング枠も使えなくなります。
また、カードの利用によって付与されていたポイントについても失効してしまいます。
利用額を滞納していないクレジットカードについては、引き続き利用することも可能ですが、更新のタイミングで信用情報を照会されると、更新を拒否される可能性が高いです。
そのため、いずれはすべてのクレジットカードが利用できなくなってしまう可能性があることも押さえておきましょう。
なお、水道料金や光熱費などの支払をクレジットカードで行っている場合には、そのカードが強制解約されることによって、支払ができなくなってしまいます。
そのため、月々の支払に利用しているクレジットカードが解約された場合には、口座振替などに支払方法を変更する手続を行うことが必要です。
(4)利用額の一括支払を請求される
滞納期間が3か月以上続くと、クレジットカード会社から一括支払の請求がなされます。
債務者には、期日までは支払を行わなくてもよいとする「期限の利益」が認められています。
しかし、その期日を徒過してしまうと、債務者はこの利益を失い、債権者はいつでも一括支払を求めることができるようになるのです。
債務者が期限の利益を失った場合、債権者からの請求を拒むことができず、利用額を一括で支払わなければなりません。
なお、一括支払を求める請求は、内容証明郵便を用いて行われることが一般的です。
内容証明郵便とは、その郵送物の差出人や受取人、差出日時などを郵便局が公的に証明する郵便を指します。
内容証明郵便による一括支払の請求がなされた場合には、その内容として支払われない場合の法的措置を予告するものも多くあり、6か月以内に訴訟の提起などが行われる可能性が高いです。
遅くとも、一括支払の請求がなされる前に弁護士に相談することが望ましいでしょう。
支払期日と消滅時効の関係については、以下の記事もあわせてご覧ください。
(5)訴訟や差押えなどの法的措置に移行する
一括支払の請求に対して何らかの対応を行わなかった場合、クレジットカード会社は訴訟などの法的手続をとることになります。
裁判所に訴訟が提起された場合には、債務者も書面などを作成し、裁判所に出廷しなければなりません。
出廷せずに放置すると、債権者勝訴の判決が出され、一定の期間までに控訴などの必要な手続を行わなかった場合、判決が確定します。
判決が確定すると、債権者は判決の内容に基づいて、差押えなどの手続に移行する可能性が高いです。
差押えの対象となるのは、住宅などの不動産のほか、車やバイクなどの動産、給与などの債権が含まれます。
そのため、クレジットカード会社の勝訴判決が確定すると、それらの財産が差し押さえられ、財産を失ってしまう可能性があるのです。
3.クレジットカードの利用額が払えなくなった場合の対処法

クレジットカードの利用額が支払えない場合には、早期に必要な対応を行わなければ、差押えなどによって財産を失うリスクが高いです。
特に収支などの状況から支払を行うことが困難であることが判明した場合には、債務整理を行うことを検討しましょう。
債務整理は、借金の返済負担の軽減または免除を受けることができる法的手続です。
具体的には、以下のような手続があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
なお、クレジットカードの支払が滞った場合に債務整理を行う際の注意点については、以下の記事も参考になります。
(1)任意整理
任意整理は、将来的に発生する利息のカットと返済スケジュールの再設定(概ね5年程度)について債権者と直接交渉を行い、合意に基づいて返済する手続です。
後で述べる個人再生や自己破産とは異なり、裁判所を介さずに行う手続であり、交渉次第では比較的短期間で終えられる可能性もあります。
返済義務が残るため、債権者との合意が成立した後も、合意に基づいて返済を行う必要がありますが、返済スケジュールの見直しなどで月々の返済負担を軽減することが可能です。
そのため、着実に完済を目指すことができます。
また、任意整理では、手続の対象とする債務(債権者)を債務者が選ぶことができる点に大きな特徴があります。
例えば、クレジットカード以外にも住宅や車などのローンの返済が滞っている場合には、これらを手続から除外することで、住宅や車などを失うリスクを回避することが可能です。
もっとも、任意整理では返済を継続する必要があるため、一定の収入を得ていることが手続を行う前提となります。
また、債権者が交渉に応じない場合には任意整理を行うことが困難になることにも留意しましょう。
任意整理を行うための条件や注意点などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
(2)個人再生
個人再生は、借金の返済が困難であることを裁判所に申し立て、借金総額に応じて減額された金額を原則3年で返済する内容の再生計画を裁判所から認可してもらい、その内容に基づいて返済する手続です。
任意整理とは異なり、裁判所を通して行う手続であり、一定の期間を要することが一般的です。
また、減額される幅(最低弁済額)は、以下のように定められています。
| 借金総額 | 最低弁済額 |
| 100万円未満 | 借金総額 |
| 100万円以上500万円以下 | 100万円 |
| 500万円超え1500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
| 1500万円超え3000万円以下 | 300万円 |
| 3000万円超え5000万円未満 | 借金総額の10分の1 |
個人再生では、すべての借金が手続の対象となり、債務者が対象となる債務を選ぶことはできません。
そのため、クレジットカードの支払以外にも滞納している借金がある場合には、そのすべてが個人再生の手続に含まれることになります。
しかし、住宅ローンについては、住宅資金特別条項(いわゆる「住宅ローン特則」)を利用することで、住宅を手放さずに引き続き返済を行うことができるケースがあります。
なお、個人再生は裁判所を通して行うため、申し立てるための要件が法律によって定められており、それを満たさない場合には個人再生を行うことができません。
このほか、手続の準備中や手続中にはさまざまな注意点もあります。
個人再生を行う要件や手続中に注意すべきポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
(3)自己破産
自己破産は、借金の返済が困難であることを裁判所に申し立て、裁判所から免責許可決定を受けて、税金の支払などの一部のものを除いた借金の返済義務を免除してもらう手続です。
任意整理と個人再生とは異なり、返済義務の免除を受けることができるため、手続後は返済を行う必要がなくなります。
しかし、住宅や車、預貯金などの一定額以上の財産を所有している場合には、手続の中で換価処分が行われて債権者に配当されます。
また、個人再生と同様に、手続の対象とする債務については、債務者が自由に選ぶことはできません。
そのため、クレジットカード以外にも住宅や車のローンを滞納している場合には、自己破産を行うことで、住宅の抵当権が実行されたり車が引き上げられたりする可能性が高いです。
なお、利用額を滞納していないクレジットカードについては、自己破産を申し立てることによって直ちに利用できなくなるわけではありません。
しかし、手続中にクレジットカードを利用してしまうと、詐欺的借入れや偏頗弁済などに該当すると裁判所に判断される可能性があります。
そうすると、裁判所から免責許可を受けることができず、返済義務が免除されないリスクがあるため、手続中にクレジットカードを利用してはいけません。
このほか、自己破産を行う上で注意すべきポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
4.弁護士に債務整理について相談するメリット

クレジットカードの利用額や利用頻度が増大することで、支払が困難になった場合には、なるべく早期に債務整理を行うことが重要です。
債務整理には、上記のような手続がありますが、どの手続を行うことが適しているかを判断することには知識や経験が必要となります。
自身にとって最適な解決方法が分からない場合には、まずは弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 最適な解決方法についてアドバイスを受けることができる
- 手続を依頼することで返済を停止することができる
- 手続の進行について一任できる
順にご説明します。
(1)最適な解決方法についてアドバイスを受けることができる
弁護士に相談することで、自身に適した債務整理の手続について、アドバイスを受けることができます。
先ほども述べたように、債務整理には3つの手続があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットが異なります。
例えば、任意整理と個人再生では借金の返済義務自体が免除されるわけではないため、債権者との合意や再生計画の認可の後には、一定期間にわたって返済を行わなければなりません。
これに対して、自己破産では、裁判所から免責許可決定を受けることで、一部の支払義務を除くすべての借金の返済義務が免除されます。
しかし、自己破産を行うと、住宅や車などの資産価値の高い財産については、手放さなければならなくなる可能性が高いです。
弁護士に相談することで、それぞれの手続のメリット・デメリットなどについても説明を受けることができます。
また、収支の状況や生活・仕事の内容なども総合的に考慮した上で、最適な解決方法の提案を受けることが可能です。
(2)手続を依頼することで返済を停止することができる
弁護士に相談の上で債務整理の手続を依頼すると、債権者への支払を停止することが可能です。
これは、弁護士に手続を正式に依頼することで、受任通知という書類が作成・送付されることに理由があります。
債権者が受任通知を受け取ると、それ以降は債務者に対して督促や取立てを直接行うことが法的に禁止されます。
これによって、支払や返済をストップすることができるのです。
なお、債務整理の手続は債務者本人も行うことができますが、受任通知の作成・送付がされないため、督促などの連絡を受ける中で準備を進めなければなりません。
そのため、精神的負担も大きく、手続をスムーズに進めることができない可能性が高いです。
しかし、弁護士に債務整理を依頼することで、そのようなリスクを回避しながら手続を進めていくことができます。
(3)手続の進行について一任できる
弁護士に相談・依頼することで、手続の進行についても任せることができます。
任意整理では、債権者と直接交渉を行うことになりますが、債務者本人が手続を行う際には、交渉に応じない債権者もいます。
また、交渉に応じても、債務者に不利な条件を提示する場合もあり、返済負担が軽減されるとは限らないケースもあるのです。
これに対して、個人再生と自己破産では、裁判所とのやりとりが必要となる場面も多いです。
そして、対応を誤ると手続が途中で終了したり免責許可を受けることができなかったりするため、慎重な対応が求められます。
弁護士に手続を依頼することで、債権者や裁判所とのやりとりについても一任することができ、手続を成功させる可能性を高めることができます。
まとめ
本記事では、クレジットカードの利用額が払えない場合のリスクや対処法などについて解説しました。
クレジットカード会社から督促がされた場合には、これに対応せずに放置することで、一括支払の請求を受けたり、訴訟や差押えなどの法的手続に移行したり、さまざまなリスクがあります。
そのため、支払が困難なほどクレジットカードの利用額が大きい場合には、債務整理を行うことを検討しましょう。
債務整理には3つの手続があり、どの手続を行うことが適しているかは収支の状況などによっても異なるため、まずは弁護士に相談することがおすすめです。
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