自賠責保険の慰謝料はどのように計算する?交通事故の適切な慰謝料は?

自賠責保険の慰謝料はどのように計算する?交通事故の適切な慰謝料は?

執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

皆さまのご相談内容を丁寧にお聞きすることが、より的確な法的サポートにつながります。会話を重ねながら、問題解決に向けて前進しましょう。

「自賠責保険の慰謝料はどのように計算するのだろう」
「そもそも自賠責保険って何のことだろう」

自賠責保険とは、自動車等の所有者に法律で加入が義務付けられている対人保険のことをいいます。

本記事では、自賠責保険の基礎知識や慰謝料の種類、計算方法について詳しく解説します。

1.そもそも自賠責保険とは

そもそも自賠責保険とは

自賠責保険とは、自動車等の所有者に法律で加入が義務付けられている対人保険のことです。

ここにいう車両には、自動車だけでなく自動二輪車や原付バイクも含みます。

自賠責保険の目的は交通事故による負傷者の救済です。

そのため、自賠責保険の補償対象は人身事故のみに限定されており、以下のケースのような物損事故や自損事故は補償対象外です。

  • 相手の車に損害を与えた場合
  • 自分の車が壊れた場合の修理代
  • 自分が怪我をした場合

2.自賠責保険から受けられる3つの慰謝料

自賠責保険から受けられる3つの慰謝料

自賠責保険からは、被害の種類に応じて3種類の慰謝料を受けられます。

それぞれの慰謝料の支払基準や支払限度額についてご説明します。

(1)入通院慰謝料(傷害慰謝料)

交通事故により怪我をした場合、治療費や休業損害とは別に、入通院慰謝料(傷害慰謝料)を受け取ることができます。

入通院慰謝料は、交通事故により怪我をしたことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料のことです。

#1:入通院慰謝料(傷害慰謝料)

自賠責保険の入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、1日につき4,300円です(令和2年4月1日以降に発生した事故の場合)。

計算方法等については、次の「3.自賠責保険の慰謝料の計算方法と金額の相場」でご説明します。

#2:上限額

傷害による損害の支払限度額は、120万円です。

そのため、たとえば治療費+休業損害額+傷害慰謝料額が120万円を超えたとしても、自賠責保険からは120万円しか受け取れません。

(2)後遺障害慰謝料

交通事故により怪我をし、後遺障害が残った場合、(1)の傷害による損害に加えて、後遺障害による損害の賠償を請求することができます。

後遺障害による損害は、後遺障害による逸失利益、及び、後遺障害慰謝料等につき自賠責保険金を受け取ることができます。

後遺障害慰謝料は、交通事故により後遺障害を負ったことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

#1:後遺障害慰謝料

自賠責保険の後遺障害慰謝料を受け取るには、被害者が、後遺障害の等級認定を受ける必要があります。

後遺障害の等級は、加害者の任意保険会社を通じて提出した書類を基に、第三者機関である損害保険料率算出機構の審査を経て認定されます。

この後遺障害の等級認定の申請手続には、「被害者請求」又は「事前認定」の2つの方法があります。

これらは、大まかに、被害者が必要書類を収集するのか、又は加害者の任意保険会社が必要書類を収集するのか、が異なります。

「事前認定」には、被害者自身の手間が省ける点にメリットがあります。

しかし、加害者の任意保険会社に書類の収集の全てを委ねてしまう手続であるため、被害者に不利益な書類を使って認定手続が進んでいるのではないか等、不安が大きい手続です。

そのため、後遺障害等級の認定に有利な必要書類を自分で収集できる被害者請求を行うことをお勧めします。

弁護士法人みずきは、被害者請求の手続をすすめるお手伝いをさせていただきます。いつでもご相談ください。

#2:後遺障害の等級認定を申請する流れ

後遺障害の等級認定を申請する大まかな流れは、次のとおりです。

    1. 症状固定の診断を受ける
    2. 後遺障害診断書の作成をしてもらう
    3. 後遺障害診断書を加害者の任意保険会社に提出する(事前認定)

又は、被害者が後遺障害診断書以外の必要書類も揃え、加害者の自賠責保険会社に提出する方法(被害者請求)もあります。

症状固定とは、治療を続けてもそれ以上症状の改善が望めない状態をいい、その状態に至ったことは医師が判断します。

医師が、症状固定の判断を、保険会社が用意する後遺障害診断書の書式に記入します。

後遺障害の認定にかかる期間は、一般に2か月程度です。

#3:上限額

後遺障害による損害の賠償額は、認定された等級によって定められています(自動車損害賠償保障法施行令別表第1及び第2)。

具体的な金額は、次の「3.自賠責保険の慰謝料の計算方法と金額の相場」でご説明します。

(3)死亡慰謝料

死亡による慰謝料は、交通事故により死亡したことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

死亡による損害は、葬儀費、死亡による逸失利益、死亡本人の慰謝料、及び遺族の慰謝料につき自賠責保険金を受け取ることができます。

なお、後遺障害による損害に対する保険金が支払われた後、被害者が死亡した場合において、交通事故と死亡との間に因果関係が認められたときは、その差額が死亡による損害として認められます。

3.自賠責保険の慰謝料の計算方法と金額の相場

自賠責保険の慰謝料の計算方法と金額の相場

自賠責保険における慰謝料の金額は、法令により計算方法や金額が定められています。

(1)入通院慰謝料の計算方法と相場

基本となる入通院慰謝料は1日あたり4,300円で、この金額と通院に要した日数を掛け算して、入通院慰謝料を計算します。

自賠責保険の傷害慰謝料は、1日につき4,300円です(令和2年4月1日以降に発生した事故の場合です。令和2年3月31日までに発生した事故の場合は、1日につき4,200円です。)。

つまり、基本的には、4,300円×対象日数 で計算できます。

傷害慰謝料の対象になる日数かどうかは、被害者がどんな傷を負ったのか、実際に通院した日数等を考慮して算定されます。

通院に要した日数には以下の2種類があり、数の少ない方を対象日数として算定します。

  1. 治療開始から治療を終えた日までの全治療期間
  2. 実際に通院した日数の2倍

実際に例を挙げて確認しましょう。

全治療期間は200日、実際に通院した日数は80日だとすると、全治療期間は200日、通院日数は80日×2=160日です。

この場合、実際に通院した日数の計算結果の方が少ないため、160日が採用され、入通院慰謝料は「4,300円×160日=688,000円」となります。

通院日数の数え方の例外として、全治療期間の調整が必要な場合は通院日数に7日加算されます。

たとえば、治療最終日に医師から以下の判断が示されたときです。

  • 治癒見込
  • 継続
  • 転医
  • 中止

ただし、加算することで入通院慰謝料が増えるかどうかはケースによるため、計算しないと判断できません。

また、装着箇所や素材などの条件はありますが、ギブスを着用して自宅療養した場合は、その期間も通院日数として加算されます。

(2)後遺障害慰謝料の計算方法と相場

後遺障害による慰謝料の金額は、認定された後遺障害の等級により決まります。

#1:後遺障害等級と慰謝料等の金額

後遺障害等級 慰謝料等の金額
14級 32万円
13級 57万円
12級 94万円
11級 136万円
10級 190万円
9級 249万円
8級 331万円
7級 419万円
6級 512万円
5級 618万円
4級 737万円
3級 861万円
2級 998万円
1級 1150万円

#2:常に介護を要する後遺障害の等級と限度額

後遺障害等級 慰謝料等の金額
2級 1203万円
1級 1650万円

(3)死亡慰謝料の計算方法と相場

死亡による慰謝料の金額は、以下のとおり法定されています。

慰謝料等の金額
被害者本人への慰謝料 400万円
遺族への慰謝料 遺族一人 550万円
遺族二人 650万円
遺族三人以上 750万円
遺族が被扶養者である場合、上記金額にプラス200万円

この場合の遺族とは、被害者の父母(養父母を含む)、配偶者及び子(養子、認知した子及び胎児を含む)のことをいいます。

まとめ

自賠責保険とは、自動車等の所有車に法律で加入が義務付けられている対人保険のことをいいます。

ここにいう車両には、自動車だけでなく自動二輪車や原付バイクを含みます。

自賠責保険の慰謝料額は、傷害、後遺症、死亡の各場合について、法令で定められています。

ただ、この慰謝料の金額は、低く抑えられています。

そのため、弁護士に交渉を依頼することにより、受領できる慰謝料が増える可能性があります。

弁護士法人みずきは、交通事故に関する相談を無料で受け付けております。

慰謝料請求をお考えの方は、是非ご連絡ください。

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執筆者 実成 圭司 弁護士

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