契約関係、取引のフローをどうするか

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契約には必ず当事者が存在します。ビジネスモデルに合わせて、契約関係、取引のフローを整理する必要があります。

典型的なECサイト

ECサイトにおける物品の売買で、頻出する問題は、サイト上に掲載した写真とイメージが異なるというものです。サービスの提供であっても、事前に告知された内容と実際に提供されたサービスが異なるという問題が生じ得ます。
このような問題が生じた場合、事業者として最終的な拠り所となるのは利用規約です。そのため、利用規約の入念な策定が必要です。

 

事業者と購入者間の契約形態に応じた注意点

 

① 直接型

事業者が購入者と直接売買契約を締結し、商品やサービスの提供は、事業者から販売者へ委託します。このように事業者が購入者と直接契約を締結する形式では、事業者は売主として、瑕疵担保責任を負うリスクが考えられます。

② 間接型

販売者と購入者に売買契約を結んでもらい、事業者はサイトの運営や情報提供のみ行うという形式も考えられます。商品やサービスの性質によっては、仲介型ビジネスに許認可等の規制がありますので、注意が必要です。
仮に適法な形式である場合、事業者は売主としての責任を負いませんが、販売者に契約の履行を委ねることになりますので、商品やサービスの提供方法、決済方法につき、購入者の不安が生じて信用を得られない等、経営上のリスクが考えられます。

 

オークションサイト

オークションサイトは、事業者が商品やサービスを売ることなく、他人同士の売買を仲介するサービスです。事業者は、購入者から仲介手数料を得てウェブサイトの運営を行います。
他人間の売買でトラブルが生じた場合に、事業者として責任を負う範囲を明確にする必要があります。事業者の規約について、販売者は登録時に、購入者は購入時に、適切に認証されるよう、ウェブサイトの構築を図る必要があります。

 

フリーミアムモデル

フリーミアムモデルは、基本サービスを無料で利用可能にして、サービス内容に応じて段階的に有料会員制とするモデルです。
無料会員の集客時に、一切無料と認識されるような表示をした場合、景品表示法上、違法となりますので、注意が必要です。広告表示について、消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法の問題点及び留意事項」を参照して下さい。
また、事業者とサービスに不満を感じた有料会員間のトラブルも想定されます。事業者のリスクを軽減する方策として、利用規約中、サービス停止があること等を定め、有料会員から事業者に対する損害賠償請求の追及可能性を軽減したり、損害賠償金の上限を有料会員が支払った料金の一定期間分に制限したりとの対応をします。

 

エスクローサービス

事業者が商品やサービスを直接売ることのない仲介型の場合、他人同士の取引となるため、購入者は商品やサービスが届くか、販売者は代金の支払いがなされるか、それぞれに懸念が生じます。エスクローサービスは、このような両者の懸念を解消するために、第三者が買主から代金を預かり、商品やサービスの提供が完了してから、売主に代金を支払うサービスです。
資金決済法上、金融機関以外の事業者であっても、資金稼働業としての登録、資金の供託等の一定の要件をクリアすれば、エスクローサービスを行うことができます。

 

代金決済代行サービス

事業者が資金稼働業の登録をせずに、エスクローサービスに似たサービスを提供するのが、代金決済代行サービスです。
代金決済代行サービスでは、買主が代行業者に代金を支払った時点で、買主と売主との間で、決済が完了します。代行業者は、商品やサービスの提供の有無につき直接責任を負いません。