継続的契約を締結する方

自己破産のメリット

継続的契約は、双方の安定的な関係を前提として、取引を一定期間継続することで、経営の安定を図り、事業拡大にも繋がる点で、魅力的な取引形態です。

もっとも、単発的な売買契約などと違い、信頼関係に基づき長期間取引が続くため、契約当初には予想できなかったことが生じることが多々あります。

そのため、継続的契約を締結する場合、長期的視野をもってリスクを最小限にする契約内容にする必要性が極めて高いといえます。

すなわち、紛争予防のためになすべきことが多い取引形態のひとつです。

したがって、弁護士などの専門家に事前に相談し、契約書の作成やチェックを怠らないことが求められます。

以下に、継続的契約を締結する際の着目点の一例を示します。

(1)契約期間

継続的契約は長期間継続して取引を続けられるところに魅力があります。

しかし、社会経済情勢はめまぐるしく変化するため、契約内容の見直しの機会を設けないと、不利益が生じる場合もあります。

例えば、「本契約の有効期間は契約締結の日から1年とする」などと短期間で区切り、その都度契約を更新しない旨を通知する機会を設ける方法などがあります。

また、例えば、「文書により60日前の予告をもって、この契約を中途解約することができる」などと中途解約条項を設けることも考えられます。

もっとも、裁判例上、中途解約条項があるだけで無条件に中途解約が認められるかというと、そうでもないので注意が必要です。

ここが信頼関係を前提とする継続的契約の特徴です。

また、民法改正に向けた中間試案においては、期間の定めや中途解約条項のある継続的契約であっても、契約を終了させることがかなり困難となることが見込まれる内容となっています。

(2)基本契約と個別契約の関係

#1:優先関係

基本契約は、当事者間で反復継続して行われる取引について共通に適用される事項を規定したものですから、特別な規定が無い限り、基本契約が個別契約に適用されます。

もっとも、基本契約が一般的なことを定める性質であることから、個別契約の内容が基本契約と矛盾する場合は、個別契約が優先します。

一方で、基本契約での定めを優先させたいのであれば、優先関係について後日の争いを予防するため、基本契約内に、「個別~契約の規定が本契約と異なる場合、本契約の規定が個別契約に優先する」などと条項を設けるべきでしょう。

#2:解釈指針

個別契約に基づく、個別取引上、注文書等の記載内容について多義的な文言がある場合があります。

これも、解釈を巡って紛争の種となります。

そこで、個別契約を優先させる場合でも、解釈指針を明確にするために、「本契約は個別契約の解釈指針としての機能を失わない」などの文言を入れるべきでしょう。

#3:個別契約の成立要件

継続的取引では、基本契約を土台として反復継続的な取引が行われるため、個別契約についてその都度契約書を交わすことが無く、注文書などをやりとりするのが通例です。

そうすると、個別契約の成立がどこで生じていたのかが後日の紛争の種となりえます。

そこで、基本契約上で、個別契約の成立要件を明確にすることが非常に重要となります。この点については、双方の立場からチェックするする必要があります。

例えば、売買契約の場合、売主としては、買主からの注文書の交付があっただけで個別契約が成立すると、その発注に気づかなかった場合に債務不履行責任が生じるリスクがあります。

そのため、買主が注文書を売主に交付しただけでなく、「売主が買主に対し注文請書を交付することによって成立する」などとする必要があります。

一方で、買主としては、注文書を交付しただけでなく、売主が一定期間内に受注拒否の申出をしない場合には売主は注文書とおりの発注を承諾したこととするようにしておけば、注文請書がなくても成立を確保できる点で安心です。

#4:取引数量や価格

取引数量や価格などの個別契約の内容は、長期的な取引のもとで生産設備の規模の決定や在庫の想定、利潤を確保するなどの点から重要となります。

そのため、個別契約を口頭で行うのは後日の紛争の種となるため避け、注文書などの書面で行うべきです。

当該契約に特有の条件がある場合には、別途個別契約書を交わすこともリスク管理として重要です。

また、一定数量の取引を確保したいのであれば、最低数量を購入等することを必要とする旨を明記するべきです。

例えば、「買主は、本契約期間中、平成~年~月~日から平成~年~月~日までの間、本製品をいくつ以上購入しなければならない」などです。最低価格も同様です。

ここで重要なのは、「購入」などの文言の意義を基本契約上明確にしておくことです。

但し、独占禁止法に反することにならないかは注意が必要です。

3.債権回収

継続的取引の中で、買主側の状況によっては、債権回収の必要が生じる場合があります。

そこで、そういったリスクを予防するためには、買主が不渡りを一回でも出した場合には無催告解除を可能とする条項を入れておくことが考えられます。

また、代金債権の担保として、営業保証金を入れてもらうことも考えられます。

この場合は、営業保証金をどのような場合にどのような形で代金債権に充当するのかなども定めておく必要があります。

以上のように、企業の健全な経営にとって魅力的な継続的契約は、紛争の種も多く抱えています。

また、大企業は中小企業に不利な契約を締結させます。

ひとつでも紛争を予防するために、まずは弁護士に相談することをお勧めします。