債務整理をすると返済中の車のローンはどうなる?債務整理と車のローンの関係性について

「債務整理をすると車のローンはどうなるのか」
「債務整理の後にローンを利用できるのか」

債務整理を行うことを検討している方の中には、車のローンがどうなるのか不安になっている方もいると思います。

車のローンの残債務がある中で債務整理を行うと、手続によっては車に影響が生じる可能性があります。

そのため、生活や仕事への影響を考慮しながら、慎重に手続を選択することが重要です。

本記事では、債務整理を行うことによって、車のローンにどのような影響が及ぶのかについて解説します。

また、債務整理を行った後にローンを組むことの可否や対処法などについても合わせて解説しています。

ご自身にとって、どの手続を行うべきか判断が難しい場合には、まずは弁護士に相談することがおすすめです。

なお、債務整理について弁護士に相談すべきタイミングについては、以下の記事もご覧ください。

2024.07.22

債務整理のタイミングとは?始めるべき時期や債務整理の方法、弁護士に相談するメリット

1.債務整理による車のローンへの影響

債務整理は、借金の返済負担の軽減又は免除等を受けることができる手続です。

車のローンは、借金と同じように扱われるため、債務整理の対象になります。

そのため、車のローンの残債務がある状態で債務整理を行うと、車を手放さなければならなくなるなどの影響が生じる可能性があることに注意が必要です。

もっとも、どのような影響が生じるかは、債務整理の手続によって異なります。

債務整理には、以下の手続があります。

債務整理の種類

  1. 任意整理
  2. 個人再生
  3. 自己破産

それぞれの手続でどのような影響が生じるかをご説明します。

なお、債務整理の手続の種類や特徴などについては、以下の記事も参考になります。

2023.09.30

債務整理の種類とは?手続の特徴やメリット・デメリットも解説

(1)任意整理

任意整理は、裁判所などの公的機関を利用せず、債権者と個別に交渉を行い、将来的に発生する利息のカットと長期分割返済について合意し、月々の返済負担を軽減する手続です。

ほかの債務整理の手続とは異なり、任意整理では手続の対象とする債務を債務者自らが選ぶことができます。

そのため、車のローンの残債務を任意整理の対象から外すことで、車を手元に残しながらローンの返済を続けることが可能です。

仕事などで残債務のある車を利用する必要がある場合には、車のローン以外の債務の任意整理を行うことで、その車を利用し続けることができます。

任意整理のメリット・デメリット、手続の流れなどについては、以下の記事も合わせてご覧ください。

2024.11.29

任意整理とはどのような手続?メリット・デメリット、手続の流れを弁護士が解説

(2)個人再生

個人再生は、無担保債権の総額が5000万円以下の借金があり、将来にわたり継続的な収入が見込まれる個人向けの制度で、裁判所に認可された返済計画(再生計画)に基づき、原則3年(最長5年)で債務の一部を分割返済し、残債務は免除されるという手続きです。

個人再生には、住宅ローンがある場合「住宅資金特別条項」を設けることで、住宅ローンは従来通り返済しつつ、他の債務を圧縮して返済でき、住宅を失わずに住む仕組みがあります。

個人再生では、任意整理とは異なり、利息だけでなく元本部分まで減額を受けることができるため、返済の負担を大幅に軽減することができます。

一方、個人再生では手続の対象とする債務を選ぶことはできないことから、車のローンも原則として減額や分割弁済の対象に含まれます。

車のローン会社は、所有権留保がある場合、再生手続開始決定前に限り、担保権者として車両の引き揚げを主張することができます。

そのため、車のローンが残っている状態で個人再生を行うと、ローン会社の留保所有権に基づいて車が引き揚げられてしまうため、手元に残すことができなくなってしまう可能性が高いです。

もっとも、所有権留保がついていない場合や再生手続前にローンを完済している場合には、車を手元に残すことができます。

しかし、このような場合、自動車の価値が高ければ相当の財産として扱われ、減額幅が少なくなり、個人再生を行うメリットが損なわれてしまうリスクがあります。

(3)自己破産

自己破産は、借金の返済ができなくなった場合に、自己の財産を清算して全ての債権者に公平な返済をし、それ以上の債務は免責を受けることを、債務者自身が申し立てる裁判上の手続きです。

自己破産でも、個人再生と同様に手続の対象となる債務を選ぶことはできず、車のローンも対象に含まれます。

車のローンの残債がある状態で自己破産を行うと、所有権留保に基づいて車を引き揚げられてしまうことに注意が必要です。

また、ローンを完済している場合には、自動車の査定額が20万円以下であれば、自由財産として手元に残すことができます。

20万円を超える場合であっても、生活や仕事上、自動車の所有が不可欠な事情があれば、自由財産拡張の申立てにより、手元に残せる可能性があります。

ここにいう自由財産とは、生活に必要な最低限の財産のことをいいます。

自由財産に含まれる具体的な財産などについては、以下の記事で解説しています。

2024.12.30

自己破産後に手元に残せる財産はある?現金の扱いや自由財産について解説

2.債務整理後に車のローンを組むことはできるのか

任意整理、個人再生、自己破産に着手した後は、信用情報機関に事故情報が登録されるため、原則として新規で車のローンを組むことができません。

信用情報機関とは、主に消費者や事業者の信用に関する情報を収集、管理し、加盟している金融機関やクレジット会社、貸金業者等に提供する法人のことをいいます。

債務者が債務整理を行うと、その事実が事故情報として信用情報機関に登録されます。

事故情報が登録されていることは、その人の支払能力に問題があることを意味するため、金融機関にローンの利用を申請しても、審査が通らなくなってしまうのです。

信用情報機関に事故情報が登録されている期間は、機関や情報内容等によって差はありますが、完済又は手続きの開始決定から5~10年程度です。

そのため、事故情報が登録されている期間はローンの利用はもちろん、分割払いやクレジットカードの利用もできなくなってしまうことに注意が必要です。

なお、本人が信用情報機関に問い合わせることで、自身の信用情報を確認することが可能です。

事故情報が登録される期間や開示請求の方法などについては、以下の記事も参考になります。

2022.08.31

債務整理をした後にローンを組むには?弁護士が注意点や対処法を解説

3.債務整理後すぐに車のローンを組みたい場合

債務整理をしても生活が苦しいときの対処法

債務整理後は原則として車のローンを組めませんが、全く方法がないわけではありません。

信用情報機関に事故情報が残っている状態で自動車ローンを利用する方法は以下のとおりです。

債務整理後すぐに車のローンを組みたい場合の対処法

  1. 保証人を立てる
  2. 自社ローンを利用する
  3. 家族名義でローンを組む

順にご説明します。

(1)保証人を立てる

極めて限定的ではありますが、信用情報機関に事故情報が登録されている間でも、保証人を立てることで自動車ローンを組むことができる場合があります。

これは、保証人を立てることで、万が一自動車ローンの契約者が支払不能になった場合でも、債権者は返済を受けることが可能になるからです。

(2)自社ローンを利用する

自動車販売店が独自のローンを提供している場合は、その会社の独自審査を利用することで、自動車ローンを組むことができる場合があります。

自動車ローンを利用して自動車を購入したい方は、自動車販売店が自社ローンを提供しているか確認しましょう。

(3)家族名義でローンを組む

債務者本人ではなく、その家族の名義であれば、自動車ローンを組むことができます。

債務整理によって信用情報に事故情報が登録されても、家族の信用情報には何も影響がないため、審査で信用情報を確認されても問題ないと判断される可能性があります。

ただし、家族も過去に債務整理をしているなどして、信用情報に事故情報が登録されていれば、審査に通らないため、注意が必要です。

まとめ

自動車ローンの残債務がある状態で債務整理を行うと、車に何らかの影響が生じる可能性があります。

任意整理であれば、自動車ローンを手続の対象から外すことで、車を失うことなくローンの返済を継続することが可能です。

また、個人再生や自己破産においては、ローンの残債がある場合には原則として手元に残すことができないため、注意が必要となります。

債務整理後も信用情報機関に事故情報が登録されている間は、原則として自動車ローンを利用することができなくなります。

どのような手続を行うことが適しているかは、借入状況などによっても異なるため、ご自身に最適な手続を判断するのは難しい場合もあります。

そのため、まずは専門家である弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士法人みずきでは、これまでに数多くの債務整理の手続に対応してきました。

経験豊富な弁護士が丁寧にお話を伺いますので、債務整理を行うことや生活などへの影響についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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執筆者 実成 圭司 弁護士

所属 第二東京弁護士会

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