B型肝炎給付金の対象者とは?受給できる金額と請求方法

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。

この記事の内容を動画で解説しております。あわせてご視聴いただければと思います。

「B型肝炎給付金ってどんな人が受給できるのか」
「B型肝炎給付金ではどのくらいの金額を受け取れるのか」

B型肝炎に感染した方の中には、B型肝炎給付金について調べている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、B型肝炎給付金の対象者や支給金額、受け取り方についてご紹介します。

1.B型肝炎給付金の対象者

B型肝炎給付金を受給するためには、一定の要件を満たす必要があります。

厚生労働省のホームページによると、B型肝炎給付金の受給要件は以下の2パターンです。

B型肝炎給付金の受給要件

  • 7歳になるまでに、集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)の際の注射器の連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した方
  • その方から母子感染した方(これらの方々の相続人を含む)

B型肝炎ウイルスに感染した経緯がポイントです。

昭和23年7月1日から昭和63年1月27日にかけて行われた集団予防接種では、注射器の使いまわしが発生を連続して使用していたことから、その期間に集団予防接種を受けた方の中でB型肝炎ウイルスに感染する人が続出しました。

それが社会問題となり、国は上記の期間に集団予防接種を受けてB型肝炎ウイルスに感染した方を対象に、給付金を支給する制度を設けたのです。

また、B型肝炎ウイルスは母子感染することも判明しており、1つ目の要件に該当する方から生まれた子供で、B型肝炎ウイルスに感染した場合も給付金を受給できます。

逆を言えば、上記の2つの要件に該当しない方は、B型肝炎給付金を受給することはできません。

2.B型肝炎給付金の支給額

B型肝炎給付金の支給額は、病態によって定められています。

主な支給額は以下の表のとおりです。

病態等

支給金額

死亡・肝がん・肝硬変(重度) 3,600万円
20年の除斥期間が経過した死亡・肝がん・肝硬変(重度) 900万円
肝硬変(軽度) 2,500万円
20年の除斥期間が経過した肝硬変(軽度)
(1)現在、肝硬変(軽度)にり患している方 など 600万円
(2)(1)以外の方 300万円
慢性B型肝炎 1,250万円
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎
(1)現在、慢性B型肝炎にり患している方 など 300万円
(2)(1)以外の方 150万円
無症候性キャリア 600万円
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア

(特定無症候性持続感染者)

50万円

病態によって支給額に大きな差があり、50万円の場合もあれば3,600万円支給されるケースもあります。

給付金を受給後に病状が進展した場合は、追加で差額分を請求することが可能です。

B型肝炎給付金の対象者は、どの病態区分に該当するか確認しておきましょう。

なお、上記の給付金に加えて以下の訴訟手当金も支給されます。

  • 訴訟等に係る弁護士費用(上記給付金額の4%に相当する額)
  • 特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用

他にも、特定無症候性持続感染者には、以下の手当も支給されます。

  • 慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
  • 母子感染防止のための医療費
  • 世帯内感染防止のための医療費
  • 定期検査手当

手厚い支給内容になっているので、該当する方は安心して手続を行うべきでいましょう。

3.B型肝炎給付金の受け取り方

B型肝炎給付金の申請に必要な書類

B型肝炎給付金の受け取り方についてご紹介します。

主な流れは以下のとおりです。

  1. 受給要件に該当することを示す証拠資料の準備
  2. 国を相手とする国家賠償請求訴訟を提起
  3. 裁判所を介して和解協議
  4. 和解成立後に申請書を提出

B型肝炎給付金の受給対象者は、上記の流れに沿って手続を進めましょう。

(1)受給要件に該当していることを証明

まずは、受給要件に該当していることを証明するための資料を集める必要があります。

証明に必要な書類は、「B型肝炎訴訟の手引き」に明記されているので、漏れがないように揃えましょう。

状況によって集めなければいけない資料が異なりますので、不安な方は弁護士に予め相談して準備を行いましょう。

証明に必要な書類に関しては、以下の記事で具体的に説明しているので、よろしければそちらも参考にしてみてください。

B型肝炎給付金の申請に必要な書類とは?対象者ごとに解説

(2)国を相手とする国家賠償請求訴訟を提起

資料収集を終えたら、国家賠償請求訴訟を提起します。

訴訟を提起することは一般の方でも可能ですが、どのような証拠に基づきどのような主張を行うべきかは、専門的な判断が必要となることも珍しくありません。

そのため、弁護士に手続きを一任することをおすすめします。

(3)裁判所を介して和解協議

訴訟を提起した後は、裁判所を介して和解協議を行います。

和解協議では、追加で必要な書類の提出を求められる場合があるので、その都度対応しましょう。

特に問題がなければ、国との間で和解調書を取り交わします。

(4)和解成立後に申請書を提出

和解が成立したら、社会保険診療報酬支払基金に申請書を提出します。

支払基金に提出する書類は以下のとおりです。

支払基金に提出する書類

  • 給付⾦等⽀給請求書
  • 受給者証交付請求書
  • 住⺠票等

書類が受理されたら、同基金から給付金が支給されます。

まとめ

B型肝炎給付金を受け取るには、定められた要件を満たさなければなりません。

給付金は病態ごとに定められており、さまざまな手当も支給されるので、ご自身が給付金の請求要件に該当していれば手続を進められます。

弁護士に相談のうえ、必要書類を揃えて、国家賠償請求訴訟を提起しましょう。

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

法律は堅苦しいという印象はあるかと思います。しかし、そんなイメージに阻まれて、皆さんの問題や不安が解決されないのは残念でなりません。
私は、そんな法律の世界と皆さんを、柔和に橋渡ししたいと思っています。問題解決の第一歩は、相談から始まります。
皆様が勇気を振り絞ってご相談をしていただければ、後は私どもが皆様の緊張や不安を解消できるよう対応し、法的側面からのサポートができればと思います。敷居はバリアフリーです。あなたの不安を解消するために全力でサポート致します。