離婚にまつわる慰謝料について ~不貞行為編その①~

離婚にまつわる慰謝料について ~不貞行為編その①~

そもそも不貞行為とは

数年前に「昼顔」というドラマが流行り、映画化もされました。
その他にも、いわゆる「不倫」や「浮気」を題材としたドラマは枚挙に暇がありませんし、ワイドショーなどでは芸能人や著名人の「不倫」や「浮気」が取り上げられることも多くあります。
このような「不倫」や「浮気」そして「不貞行為」というものは、何なのでしょうか。

実を言えば、「不倫」も「浮気」も法律上の言葉ではありません。
字義から言えば、「不倫」とは「人倫にもとる行為」という意味合いになりますし、
「浮気」とは、「気持ちが浮つくこと」となります。
「どこからが浮気か」ということが話題に出されることがありますが、
上記のとおり、定義が曖昧なので線引きが難しいところに一因がありそうです。

これに対して、「不貞行為」という言葉は法律上の言葉です。
不貞行為は、法律用語なので、その定義もわかりやすく、「配偶者以外の者との肉体関係」とされます。
婚姻すると、配偶者に対して貞操義務というものを負います。
これはつまり、「配偶者以外の者と、肉体関係を持ってはいけません」という義務です。
この義務に反することを、「不貞行為」といいます。

したがって、例えば配偶者以外の異性と遊園地でデートすることがいわゆる「浮気」「不倫」になるかは微妙なところですが、少なくとも「不貞行為」には該当しないのです。

貞操義務は、夫婦関係を継続していく上でとても大切なものであるとされているため、
不貞行為が行われた場合には、離婚の原因にもなり、慰謝料請求の原因にもなります。

不貞行為を原因とする離婚慰謝料を請求するために必要なこと

離婚の慰謝料を請求するためには、

①相手方が原因となる行為を行ったこと
②その原因行為によって婚姻関係が破綻したこと
③それによって損害が発生したこと

を、立証していく必要があります。

以下では、上記の順にしたがって、不貞行為による慰謝料請求の要件を説明します。

① 相手方が原因となる行為を行ったこと

言うまでもなく、相手方が不貞行為を行っていることを立証する必要があります。
しかし、通常不貞行為が行われるのは、密室であることが多く、容易に立証ができるものではありません。
後述する②及び③のためにも、不貞行為がいつからいつまでの期間、どのように続けられたかという点を立証することが重要です。
そのため、「怪しいな」と感じた時から、なるべく多くの証拠を集めておくことは有益です。
また、近年はSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が普及したことにより、以前よりも証拠が存在する可能性が高まっているといえるでしょう。
詳細については稿を改めますが、電子メールやLINEなどのメッセージ履歴、FaceBookなどの日記に証拠が残存していることは多々あります。

② その原因行為によって婚姻関係が破綻したこと

不貞行為が行われたことが離婚の要因になっているということを立証する必要があります。
不貞行為が行われ、その後に離婚話が出ているのであれば当たり前に認められるようにも思えますが、多くの場合相手方配偶者側からは「不貞行為の前から夫婦関係は破綻していた」(不貞行為が離婚の原因になっていない)という反論がなされます。
そのため、上記と同様にいつから不貞行為が行われていたかは重要です。
そして、当該不貞行為の直前の夫婦仲を示す証拠も大切です。
例えば、不貞行為の1ヶ月前に家族旅行に行ったということを、家族が仲良く写っている写真などによって示せれば、夫婦関係が良好であったことが認められることでしょう。

また、少なからず見られる反論としては、「当該不貞行為についてはすでに赦されている」というものです。
確かに、例えば、5年前に不貞行為が発覚したが、その際は話し合って赦した。
その5年後、別の理由で夫婦仲の折り合いが悪くなった際に「そういえば5年前に不貞行為したじゃないか」と言ったとしても、婚姻関係破綻とは直接の因果関係が認められないかもしれません。
ただし、赦す赦さないというのは、心の問題でありそう簡単に割り切れるものでもないため、赦そうと思ったがやはりよく考えると赦せなかった、という場合もあります。
この場合には不貞行為が離婚の原因になったという因果関係が認められる可能性が高いです。
そのため、「赦す」に至った経緯やその後の夫婦関係などを詳細に説明できるようにしておくことが大切です。

③それによって損害が発生したこと

どれだけの精神的損害があったかという点を主張・立証することとなります。
概要編で詳述したとおり、慰謝料額の算定要素としては①有責性、②婚姻期間、③相手方の資力の3点が主に考慮されることとなりますが、不貞行為の場合には①有責性を判断するにあたり、
・どれだけの期間及び回数不貞行為がなされていたか
・不貞相手との関係性
・本人の健康被害などの有無
などの点が重要になります。
例えば、不貞相手に子どもができていたような場合や、逆に不貞のショックで自身の子どもが流産してしまったような場合には、精神的苦痛は大きいと判断されます。

具体的な金額については、さまざまな要素が絡み合うため、100万円を下回るものもあれば500万円を超える場合もあり、基準を設けることは困難です。
しかし、近年の裁判所の認定は200~300万円程度に落ち着くものが多い印象です。
具体例については、稿を改めて説明いたします。

なんだか怪しいな、と思ったら

通常、不貞行為は隠れて秘密裏に行われます。
そのため、不貞行為に気づくことは容易なことではありません。
しかし、同居して共同生活をしている中で、相手方配偶者の様子が「なんだか以前と違うな」「なんだか怪しいな」と感じることはあるようです。
相手の携帯電話を勝手に見るなどという行為を推奨しているわけではありませんが、「なんだか怪しいな」という感覚は、不貞行為の予兆かもしれません。
気のせいであれば何の問題もないですし、万が一にも気のせいでなければ今後のことを考えなければなりません。

次回は、不貞行為が行われていることを、どのような資料で立証することができるかという点をご説明いたします。
不貞行為をされている、またはその可能性が濃厚であると感じている方は、
一人で悩まずに、ぜひ弁護士にご相談ください。
一緒に、どのような解決が一番いいか、考えましょう。