アスベスト給付金は遺族でも請求できる?請求要件と手続の流れ
「アスベスト給付金は遺族でも請求できるのか」
「アスベスト給付金を遺族が請求する場合、どのような流れになるのか」
アスベストの被害者の遺族の方の中には、アスベスト給付金の請求ができないか考えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、遺族がアスベスト給付金を請求できるのかをはじめ、請求する際の注意点等についてご紹介します。
1.建設アスベスト給付金は遺族でも請求できるのか
結論から述べると、遺族でも建設アスベスト給付金を請求することができます。
ただし、請求者には一定の範囲が定められています。
被害者の配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹に限り請求が可能です。
そのため、従妹や叔父叔母などは請求することができません。
また、上記の請求者には優先順位があり、上記で述べた順番に優先されます。
つまり、最も優先順位が高いのは配偶者で、子、父母、孫の順に続きます。
前の順位が健在の場合には後の順位には請求権が認められないため、例えば配偶者が健在の場合は子が請求できないことを押さえておきましょう。
2.遺族が請求する際の注意点
遺族が建設アスベスト給付金を請求する際に注意しなければならない点がいくつかあります。
主な注意点は以下の2つです。
- 被災者が要件を満たしていること
- 申請期限があること
場合によっては、対象者でも請求できないことがあるため注意が必要です。
(1)被災者が要件を満たしている
まず、お亡くなりになった被災者本人がアスベスト給付金の受給要件を満たしている必要があります。
アスベスト給付金の受給要件は厚生労働省のHPによると以下のとおりです。
- 以下の期間に該当業務に従事していること
期間 | 業務 |
---|---|
昭和47年10月1日から昭和50年9月30日 | 石綿の吹付け作業に係る建設業務 |
昭和50年10月1日から平成16年9月30日 | 一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務 |
- 実際に石綿関連疾病(中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺(じん肺管理区分が管理2~4)、良性石綿胸水)にかかっていること
- 労働者や一人親方(労働者を雇用せずに自分自身と家族などだけで事業を行う事業主)、中小事業主(家族従事者等を含む)であること
上記の従事期間に該当していなければ、給付金が支給されません。
これらの要件を満たしているか確認してみましょう。
(2)申請期限がある
遺族にも給付金の申請期限があることに注意しましょう。
請求対象者は、以下の日を起算日として20年以内に申請する必要があります。
- 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日
- 石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日のいずれか遅い日
- 石綿関連疾病により死亡したときは死亡日
20年もの期間があるのである程度余裕があるように思えますが、請求のための資料を準備するためには時間を要することが考えられます。
また、時間が経てば経つほど資料が廃棄される等準備が困難になっていきます。
そのため、給付金の対象となり得る方は、なるべく早めに手続の準備に取り掛かりましょう。
3.遺族が請求できる金額
遺族が請求できる金額についてご紹介します。
建設アスベストによる症状が悪化したことでお亡くなりになってしまった場合、遺族から請求ができる金額としては以下のとおりです。
病態区分 | 金額 |
---|---|
石綿肺 (管理2) 合併症なし | 1,200万円 |
石綿肺 (管理2) 合併症あり | 1,300万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症なし | 1,200万円 |
石綿肺 (管理3) 合併症あり | 1,300万円 |
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水である者 | 1,300万円 |
アスベスト給付金の対象者であっても、石綿関連疾病による症状以外の原因でお亡くなりになってしまった場合は、550万円が認定される可能性があります。
診断書に明記されている病態や死因の確認をしておきましょう。
なお、アスベスト給付金は場合によっては減額されることもあります。
以下の記事で減額されるケースについてまとめているので、気になる方はあわせてご確認ください。
4.遺族がアスベスト給付金を請求する流れ
遺族がアスベスト給付金を請求するには、必要な書類を厚生労働省労働基準局労災管理課に提出する必要があります。
書類の送付は、配送状況等を確認できるように簡易書留やレターパックなどを利用しましょう。
労災認定されているかどうかで必要な書類が異なるので、一度弁護士に確認することをお勧めします。
以下の記事でアスベスト給付金の申請方法について具体的にまとめているので、あわせてご確認ください。
まとめ
アスベスト給付金は遺族でも請求することができます。
ただし、請求できる範囲が決まっており、申請期限等もあるので具体的な申請内容について確認することが大切です。
訴訟提起しなければ給付金を請求できないため、まずは弁護士に相談してみましょう。
なお、弁護士法人みずきでは、アスベスト給付金に関する相談を無料で受け付けております。
一人で悩まずにお気軽にご相談ください。
関連記事