アスベスト給付金はいつもらえるの?請求から支払いまでの流れを解説

執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。

「アスベスト給付金っていつもらえるのか?」
「アスベスト給付金を請求するときに何に気を付けるべきなのか?」

アスベスト給付金の対象者の中には、請求してからどのくらいで受け取れるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、アスベスト給付金の請求から支払いまでの流れや請求時の注意点についてご紹介します。

1.アスベスト給付金は請求してからいつもらえるのか

アスベスト給付金は請求していつもらえるのか

アスベスト給付金は、請求してから受け取れるまでの期間は明確に定められていません。

その理由は、請求者の個別の事情や調査・審査の混み具合によって変動するからです。

認定や不認定の決定後、請求者の元に認定結果通知書もしくは不認定決定通知書が送付されます。

もし認定された場合は、認定結果日の翌月末までに給付金等が支払われるのが一般的です。

ただし、あくまで予定で、アスベスト給付金制度が開始されたばかりなこともあり、しばらくは請求が集中している状態といえます。

そのため、給付金の認定・不認定決定までに時間がかかることを想定しておきましょう。

2.請求から支払いまでの流れ

請求から支払いまでの流れ

アスベスト給付金の請求から支払いまでの流れをご紹介します。

請求方法は厚生労働省本省労働基準局労災管理課に必要書類を提出する流れとなります。

必要書類は、労災支給決定等情報提供サービスを利用しているかどうかで変わります。

労災支給決定等情報提供サービスとは、アスベスト給付金(建設アスベスト給付金)の請求手続の利便性を図るために設けられたサービスで、事前に労災認定を受けていなければ利用できません。

必要に応じ書類を揃えて、厚生労働省本省労働基準局労災管理課に提出したら、認定審査会で審査が行われます。

審査で認定されれば、給付金を受け取ることが可能です。

厚生労働省が認定結果の通知を送付するタイミングで、支払い決定通知書が送付され、指定口座に給付金等を振り込まれるようになっています。

振込までの明確な時期ははっきりしていませんが、厚生労働省から認定結果の通知を受け取り、認定だった場合は、近いうちに振り込まれると想定しておきましょう。

3.アスベスト給付金請求対象者が気を付けるべき3つのポイント

アスベスト給付金請求対象者が気を付けるべき3つのポイント

アスベスト給付金請求対象者が気を付けるべきポイントがいくつかあります。

特に注意すべき点は以下の3つです。

  1. 請求期限がある
  2. 請求者が通知を受け取る必要がある
  3. 和解金を受け取っていれば減額される

場合によっては給付金を受け取れなかったり、減額されたりすることがあるので、しっかり把握しておきましょう。

(1)請求期限がある

アスベスト給付金には、請求期限があることに注意しましょう。

請求期限が過ぎてしまうと、給付金の受給対象者でも受け取ることができなくなります。

アスベスト給付金の請求期限は、以下の日を起算日として20年以内です。

  • 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日
  • 石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日のいずれか遅い日
  • 石綿関連疾病により死亡したときは死亡日

たとえば、医師から石綿関連疾病と診断された日が2002年12月1日だった場合は、2022年11月30日までに申請する必要があります。

猶予期間が20年もあるため、ゆとりがあるように思うかもしれませんが、診断日や決定日からある程度経過している方は、思ったよりも期限が迫ってきている可能性が高いです。

給付金の対象者は請求できると分かったら、なるべく早めに行動に移しましょう。

(2)請求者が通知を受け取る必要がある

給付金を受け取るには、請求者が厚生労働省からの通知を受け取らなければなりません。

請求者と通知の受取人が異なる場合は、申請は無効になります。

たとえば、アスベストの被害者である本人が請求したが、通知を受け取る前に死亡し、遺族が通知を受け取った場合は、給付金を受け取ることは不可です。

もし、請求者が通知を受け取れない事情が発生した場合は、通知を受け取れる人が請求者となって給付金の申請をする必要があります。

なお、遺族が申請する際は、戸籍謄本等の書類が必要です。

(3)和解金を受け取っていれば減額される

給付金を申請する前に国から和解金等を受け取っている場合は、減額されます。

アスベスト給付金は、症状に応じて支給金額が定められており、事前に和解金等を受け取っていれば、その額分を差し引いた残りが支給される決まりです。

たとえば、給付金の支給額が550万円で、すでに和解金として100万円を受け取っていれば、差額の450万円が給付金として支給されます。

そのため、受け取っている和解金等の金額が給付金の支給額と同等、もしくは上回る場合は給付金は支給されないので注意しましょう。

なお、給付金の支給額は以下の表にまとめています。

和解金等を受け取っている方は、どのくらい支給されるのか計算してみてください。

被害者本人が請求する場合
病態区分 金額
石綿肺 (管理2) 合併症なし 550万円
石綿肺 (管理2) 合併症あり 700万円
石綿肺 (管理3) 合併症なし 800万円
石綿肺 (管理3) 合併症あり 950万円
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水である者 1,150万円
被害者の遺族が請求する場合
病態区分 金額
石綿肺 (管理2) 合併症なし 1,200万円
石綿肺 (管理2) 合併症あり 1,300万円
石綿肺 (管理3) 合併症なし 1,200万円
石綿肺 (管理3) 合併症あり 1,300万円
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺 (管理4)、良性石綿胸水である者 1,300万円

まとめ

アスベスト給付金は、請求者によって申請してから支給されるまでにばらつきがあります。

一般的には、認定結果日の翌月末には支給されることが多いです。

なお、アスベスト給付金の対象者でも、給付金を受け取れない場合や減額される場合があります。

今回紹介した注意点を参考に、手続の準備を進めましょう。

弁護士法人みずきでは、アスベスト給付金に関する相談を受け付けております。

申請方法など不明な点がある場合は、お気軽にご相談ください。

執筆者 中越 琢人 弁護士

所属 第二東京弁護士会

弁護士は、スーパーマンではありませんが、他人が抱える紛争の解決のため、お手伝いをすることができます。私は、一件一件丁寧で誠実な対応を心がけ、問題解決のためにできることはやり尽くすという姿勢でおります。皆様の不安が解消され、平穏な生活を送ることができるようになるまで、紛争解決のお手伝いを致します。