売買取引について

不動産取引では、決済という手続が必要になります。

これは、売買代金の支払いと登記移転のために必要な書類の引渡しを同日に同じ場所で買主も売主も同席して行うことで、確実に引き換えをできるようにするための手続です。

1.売買代金の請求と契約の解除

不動産の売買契約を結んだにもかかわらず、買主が売買代金を支払わない場合、売主は売買代金を請求することになります。

不動産売買契約書では、内金、手付金、残代金等、段階に応じて支払名目が異なることがありますので、不動産売買契約書締結の際、また建物を建築中であれば段階に応じて、しっかりと支払いスケジュールを確認することが重要です。

買主による売買代金の支払いが遅れている場合、売主は、売買契約を解除することができます。

もっとも、唐突に解除ができるわけではなく、一定期間猶予を与えなければなりません。

売主が売買契約を解除する際、「指定の期日に○○円を持参しない場合は」等の条件を付ける方法も一般的です。

手付金の支払いがある不動産売買取引では、買主は支払った手付金の返還を放棄することで、売主は手付金を倍返しすることで、契約を解除することが可能です。

2.移転登記の請求

買主は、売買代金を支払ったにもかかわらず、自身の所有権に移転登記がなされない場合、移転登記を請求することができます。

このような請求も、所有権に基づき、法的に認められた権利です。

移転登記を請求する際に、「○日以内に登記手続に必要な書類を交付しないときは、不動産売買契約を解除する。」等の条件を示して、移転登記の請求を強く促す方法も考えられます。

3.仲介契約

売主は、売却に向けて、不動産業者と仲介契約を結ぶのが一般的です。

仲介契約は、一般媒介契約と専任媒介契約に分かれています。

専属専任媒介契約もありますが、ここでは省略します。

一般媒介契約は、複数の不動産業者と同時に契約することができます。

契約期間に関する特別な定めはありません。

専任媒介契約は、不動産業者1社とのみ契約できない代わりに、14日に1回以上の頻度で報告が義務付けられている等、不動産業者の積極的な関与が期待されています。

契約期間は最長で3か月とされています。

仲介契約も、契約であることに変わりはないので、仲介契約に従った報告が全くない等、不動産業者に落ち度があると考えられる場合は、仲介契約の解除も選択肢として検討するべきです。