システム保守契約

弁護士に相談してから和解までの流れ

保守契約とは

システム開発が完了し、納品され、運用が開始されたのちに、あらゆる理由でシステムに不具合が生じることがあります。また、不具合とはいえなくとも、バージョンアップの必要性や、ユーザー側でシステムの使用に際して操作方法が分からないなどの支障が生じてしまうこともあります。このような場合、システムのベンダー側に修補を請求し、また、サポートを求める必要が出てきます。
これらに備えてユーザーとベンダーで一般的に交わされるのが、保守契約です。
しかし、保守契約を交わしたものの、それがトラブルのもとになることもあります。

 

保守契約で定めておくべきこと

保守契約上の業務の対象内容条件を明確にしておく必要があります。

 

「対象」

まず、保守業務の対象として、ソフトウェアだけでなくハードウェアも含めるかどうかです。ハードウェアの不具合まで常にベンダーが保守できるとはいえないでしょうから、明確にしておくべきです。
対象をソフトウェアに限った場合でも、ベンダーの提供するソフトウェアに第三者が提供したソフトウェアが関与している場合もあります。調査後に第三者ソフトウェアに不具合が生じていることが判明した場合、保守業務の対象とするかは重要となります。
さらに、ソフトウェアの改良や更新、機能の追加などが行われた場合のソフトウェアについても対象とするかどうかも定めておきます。
不具合だけでなく、運用開始時には、費用や迅速性、使い勝手の良さなどから、簡易なマニュアルの提供で済ませていることが多いため、実際に運用を開始したのちに、操作方法などのサポートの有無も明確にしておくべきです。操作方法は、ときにシステムの不具合につながり、また不具合でなくともユーザーは不具合が生じているものと誤認識してしまいトラブルの要因となることがままあります。

「内容」

このように対象を定義したうえで、どのような保守とするかも定めておかなければなりません。不具合に対しては、定期点検の有無・内容や、不具合の改善、復旧、暫定的な対策などです。また、保守の方法として、オンサイトサポート(実際に訪問する方式)によるか、リモート方式とするかなどもあります。さらに、システムのバージョンアップ版の提供などは保守内容に含まれるとすることが多いでしょう。
問い合わせサポートについては、問い合わせの受付方法なども決めておかないと、ベンダーとしては、問い合わせの嵐に見舞われる可能性もあります。

「条件」

条件面では、保守業務の委託報酬額、期間などについて定めておく必要があります。
報酬に関しては、基本保守料に加え、業務量に応じて加算できるようにしておく方がベンダーは安心です。また、契約期間中に不具合が生じないこともありえます。それでも基本報酬は支払わなければならないユーザーにとって、基本報酬額の設定次第ではこの方式が都合が良いといえるでしょう。

また、システム開発契約が請負契約であった場合、ベンダーには原則引渡しから1年間の瑕疵担保責任が生じます。そのため、瑕疵担保責任に基づく修補請求であると考えれば、本来は無償で復旧を行わなければなりません。後述の契約期間とも関連しますが、この瑕疵担保責任を残すのか、排除して保守契約で一括とするのかは、基本報酬額の設定に関わってきます。

また、障害の切り分けのため調査をした結果、ベンダーに責任がないことが分かった場合、その調査費用は別途ユーザーが負担するのかについても明確化しておく必要があります。
期間については、前述の瑕疵担保責任とも関連して、不具合の修補を含める保守契約をいつから開始するか検討しなければなりません。また、契約の自動更新についての定めを置くことが多いです。

 

基本合意の締結

システム保守は、ベンダーが最も当該システムについて情報を有しているのが通常であるため、ユーザーはベンダーとの間で保守契約を締結するのが一般的です。もっとも、その分、ユーザーは契約時にベンダーに強く出られない側面もあるでしょう。一方で、ベンダーにとって、保守契約による収益が大きい場合は、ユーザーの要求を断りにくい局面も生じるでしょう。そのため、契約内容は、法律家の手を借りて、出来る限り対等な立場で、出来る限り明確な内容にしておくことがメリットに繋がります。

これからシステム保守契約締結をお考えの法務担当の方は、ぜひ一度弁護士へご相談下さい。