醜状の後遺障害
2022.01.25

交通事故によって、人目に触れる部位に、人目につく程度以上の痕が残った場合、被害者はその精神的苦痛に晒され続けることになります。
自賠法施行令では、このような痕を醜状障害として後遺障害と認定しています。
醜状障害は、外貌(頭部、顔面部、頸部等)、上肢、下肢の3つの部位に分かれて基準があり、外貌は3等級、上肢と下肢については、それぞれ1等級が定められています。
交通事故においては、擦過傷、切り傷、火傷が瘢痕(ケロイドや色素沈着等)として残ってしまう場合や、事故後に行った手術によって手術痕が残る場合が主な醜状の発生原因として考えられます。

醜状の後遺障害等級認定基準

<外貌(頭部・顔面部・頸部)>

等級 後遺障害
第7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
第9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
第12級14号 外貌に醜状を残すもの

<上肢>

第14級4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

<下肢>

第14級5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

醜状障害の後遺障害認定基準

醜状は原則として、人目につく程度以上のものであることとされています。
つまり、頭髪や眉毛に完全に隠れる部分に生じた醜状痕は評価の対象とはなりません。
なお、上記の「てのひら大」とは、てのひらから指の部分を除いた面積を指し、計測の際は、被害者のてのひらを使用します。注意する点としては、「長さ」ではなく「面積」である点です。

外貌醜状

顔や首等の外貌の醜状は、上肢・下肢より目立つため、より細かく区別されています。自賠責保険の後遺障害等級認定で準拠している労災保険の認定基準上では、以下のように定められています。
「著しい醜状を残すもの」
頭部ついては、てのひら大以上の瘢痕、又は頭蓋骨においてはてのひら大以上の欠損。
顔面については、鶏卵大面以上の瘢痕、又は10円銅貨大以上の組織陥没。
頸部については、てのひら大以上の瘢痕。
「相当程度の醜状」
顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上のもの。
単なる「醜状」
頭部については、鶏卵大面以上の瘢痕、又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損。
顔面部については、10円銅貨大以上の瘢痕、又は長さ3センチメートル以上の線状痕。
頸部については、鶏卵大面以上の瘢痕。

醜状障害における逸失利益

後遺障害の等級が認定された場合、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができます。
逸失利益とは、後遺障害を負ったことにより将来に亘って失う利益の事です。労働能力喪失率と、労働能力喪失期間に応じて算出します。労働能力喪失率は14級においては5%、12級においては14%というように、等級に応じた低下率が定められています(詳しくは「逸失利益についてのリンク」)。逸失利益が認められるか否かで、賠償額に大きな差が生じます。
醜状障害の場合に注意しなければならないのは、保険会社は、人目につくところに痕が残ってしまったからといって、労働能力に影響はないという主張のもと、労働能力喪失率を0%、労働能力喪失期間を0年として逸失利益について争ってきます。裁判所でも醜状障害の労働能力喪失率については限定的な判断をしています。
しかし、たとえば複数の人に接する機会の多い接客業や営業職、対人折衝が必要な管理職等においては、醜状を気に病み、業務に集中できないことが仕事の能率や意欲に影響を及ぼし、収入の減少を招くことが考えられ、醜状障害によって、将来に亘って労働力が喪失することがあります。裁判所でも、醜状による接客や対人関係への障害が就労に影響を及ぼす場合や、醜状痕によって希望する職種への就職が制限される、又は就職しても営業成績があがらない等、仕事の能率や意欲低下に影響を及ぼす可能性が想定できる等の事情により醜状障害による逸失利益を認めています。醜状障害と逸失利益については、それぞれの方の具体的な状況によって、労働能力喪失率、労働能力喪失期間が異なってくるものなのです。
したがって、醜状障害で後遺障害認定を受けた場合は、その醜状が自身の収入減少に影響を及ぼしている、又は及ぼすという事情を具体的かつ慎重に主張立証していくことが必要となります。

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