解決事例

Solution

脊柱・体幹
8級
逸失利益
【胸椎圧迫骨折 等】後遺障害等級8級の認定を受け、示談額が850万円増額した事例

認定等級と示談内容

後遺障害等級8級相当。示談交渉により850万円の増額で解決に至った事例(70代 女性)

事例の概要と解決に至るまでの流れ

本件では、被害者が横断歩道を横断中に相手方車両にはねられ、胸椎圧迫骨折などの怪我を負い、治療を継続しましたが、骨折による腰の痛みが後遺症として残りました。

自賠責保険に後遺障害認定申請をし、結果として後遺障害8級相当の認定を受けました。

その後、相手方保険会社が890万円で示談しないかと提案してきたため、被害者はその提案額が妥当なのかを確かめたいと当事務所までご相談にみえました。

当事務所の弁護士が介入し、示談交渉を行った結果、当初保険会社が提案していた金額から850万円増額した1740万円で解決に至りました。

解決のポイント

本件で被害者に生じた「せき柱の変形」という後遺障害でよくある傷病名は、「圧迫骨折」と「破裂骨折」です。

これらは背骨に強い負荷がかかったことにより、背骨を構成している「椎体」という骨が潰れてしまった状態をいいます。

圧迫骨折と破裂骨折の違いは、骨の潰れ方です。

椎体が潰れてくさび状になっているものを圧迫骨折、骨が潰れるだけでなく、潰れた骨が飛び出して脊髄の周辺組織を圧迫しているものを破裂骨折といいます。

圧迫骨折は、痛みやシビレ等の神経症状を伴う場合と伴わない場合があるのに対し、破裂骨折はつらい神経症状を伴うことが多いです。

骨が潰れるときくととても強い衝撃を想像しがちですが、圧迫骨折は高齢で骨粗しょう症気味の方だと尻もちやくしゃみで発症することもあり、意外にも私たちにとって身近な傷病だといえます。

交通事故で圧迫骨折の怪我を負った場合、適切な賠償を受けるために注意すべき点は3点あります。

(1)圧迫骨折を見つけること

まず一つ目は、圧迫骨折を見つけることです。

圧迫骨折は見つかりにくい傷病です。

最初は腰椎捻挫と診断されたけれども痛みやシビレが治まらず、画像をとってみたところ圧迫骨折だとわかったというケースは珍しくありません。

しかも困ったことに、圧迫骨折は上述のとおり年齢性のものがあるため、せっかく圧迫骨折だったとわかっても、受傷からあまりにも時間がたっていると交通事故による受傷だと証明できない場合があります。

痛みやシビレ等の神経症状がある方は、何が原因で生じているのかを早めに特定するためにも、セルフチェックを欠かさず、医師の指導に従って定期的に通院しておく必要があります。

(2)後遺障害等級の認定を受けること

二つ目は、自賠責保険に後遺障害認定申請をして、後遺障害等級の認定を受けることです。

圧迫骨折等で潰れてしまった骨は元の形に戻ることはないため、骨折による変形が後遺症として残ることになります。

したがって、圧迫骨折の怪我を負った場合は、症状固定まで治療を継続し、残った症状をもとに、自賠責保険に後遺障害認定申請をする必要があります。

申請により認定される等級は、「せき柱に変形を残すもの(11級7号)」、「せき柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)」、「せき柱に著しい変形を残すもの(6級5号)」の三種類があります。

(3)後遺障害による労働能力の低下を証明できること

三つ目は、示談交渉にあたって後遺障害による労働能力の低下をきちんと証明できるかです。

後遺障害認定申請で後遺障害等級の認定を受けた場合、相手方に請求する項目は、治療費や入通院慰謝料などに加えて「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」という項目が新たに加わります。

このうち、認定された後遺障害が骨の変形障害だった場合に注意しなければならないのは「逸失利益」です。

逸失利益とは、後遺障害を負ったことによって将来に亘って発生する損害のことで、認定された後遺障害等級に応じた労働能力喪失率とその労働能力喪失期間を使って金額を算定します。

つまりは、逸失利益を獲得するためには、少なくとも、認定を受けた後遺障害により労働能力が低下しているといえる必要があるのですが、変形障害の場合はここが一筋縄ではいきません。

もちろん、相手方保険会社はここをついてきます。

例えば、背骨の変形だけで痛みやシビレ等の自覚症状がないようなケースでは、「後遺障害による仕事への影響はない」と逸失利益全額を認めないと争ってきますし、痛みやシビレ等の自覚症状があるようなケースでも、他の傷病だと痛みやシビレで認定される後遺障害等級は14級であることから、自賠責保険が認定した11級や8級ではなく、14級に対応する労働能力喪失率で計算するべきだなど、逸失利益の金額が少しでも低くなるように交渉を粘ってくることはもはや常套手段といってもいい程よくあります。

本件においても、相手方保険会社が提案してきた示談金の計算書には、逸失利益が0円と表記されており、相手方保険会社としては後遺障害による労働能力の低下を全く認めないという考えでした。

当事務所の弁護士は、なんとか逸失利益を獲得できないかと考え、被害者の方の個別具体的な状況を聴取し、後遺障害が被害者に及ぼしている影響を裏付ける資料を丁寧に収集しました。

そして、粘り強く相手方との交渉を継続しました。

その結果、自賠責保険が認定した後遺障害等級8級に対応する労働能力喪失率による逸失利益を含めた金額で解決に至ることができました。

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