外国人技能実習制度とは?活用と注意点について弁護士が解説

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「外国人技能実習制度とは?」
「活用するにあたって注意すべきポイントやリスクはあるのか」

外国人技能実習制度について、このような疑問をお持ちの方もいると思います。

企業が技能実習生を受け入れる場合には、外国人労働者の雇用とは異なり、いくつかの注意点もあります。

本記事では、技能実習制度の概要や企業の不正に対して課される可能性があるペナルティなどについて解説します。

1.外国人技能実習制度の概要

技能実習制度とは、開発途上国等へ、日本の技能や技術を移転することにより、当該開発途上国の経済発展を目指すべく、外国人の人材育成を行うことを趣旨としています。

簡単に言えば、外国人に日本で技術を学んでもらい、これを自国に持ち帰ることで諸外国の経済発展を促すものです。

平成29年11月1日から、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)が施行され、これに基づく運用がなされています。

技能実習生の受け入れには、以下の2種類があります。

技能実習制度の方式 概要
企業単独型 日本の企業が、海外の現地法人や合弁企業、取引先企業の職員を受け入れて技能実習を行う
団体監理型 商工会などの非営利団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等において技能実習を行う

現在は、ほとんどの場合が、団体監理型で行われています。

2.技能実習制度の注意点

上記の通り、技能実習生はあくまで技術の伝達という趣旨に基づくものなので、単純に外国人労働者を雇用する場合と比べ、注意すべき点が多々あります。

というのも、技能実習制度は、企業側に不正な行為があった場合、非常に重いペナルティを課されることになるのです。

具体的には、以下のようなペナルティがあります。

企業側に不正があった場合に課される可能性があるペナルティ

  1. 改善命令
  2. 実習認定の取消し
  3. 事業者名等の公表

もしも実習認定の取消しを受けた場合には、在籍する全ての技能実習生について実習を継続することができなくなるのみならず、取消しの日から5年の間は、新たな技能実習計画の認定を受けることができなくなります

しかも、認定の取消しを受けたことを公表されることとなり、企業として回復困難なほどの負の影響が発生してしまいます。

3.実習認定取消事由について

法律(技能実習法)では、認定取消しとなるような不正について、以下のように規定されています。

技能実習法16条1項

出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、実習認定を取り消すことができる。

一 実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせていないと認めるとき。
二 認定計画が第9条各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき。
三 実習実施者が第10条各号のいずれかに該当することとなったとき。
四 第13条第1項の規定による報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の帳簿書類の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
五 第14条1項の規定により機構が行う報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示の求めに虚偽の報告若しくは虚偽の帳簿書類の提出若しくは提示をし、又は同項の規定により機構の職員が行う質問に対して虚偽の答弁をしたとき。
六 前条第1項の規定による命令に違反したとき。
七 出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。

このように、取消事由は多岐にわたりますが、中でも1号及び2号は、認定計画通りに行われなかったり、認定計画自体が不適合であったりする場合です。

認定計画の適合性などについては、以下のような要件が求められます。

認定計画の要件

  • 修得対象の技能が、本国では修得困難であること
  • 実習の目標及び内容が省令の定める基準に適合すること
  • 期間制限(1年又は2年以内)
  • 実習を行わせる体制及び設備が省令の基準に適合していること
  • 実習を行わせる事業所ごとに省令で定める責任者が選任されていること
  • 技能実習生に対する報酬が、日本人が従事する場合と同等以上であること

そのため、実際にさせている作業が陳腐化した技能である場合や対象となる技能を修得するために必要な設備や機材が足りない場合、日本人に比べて低廉な賃金で雇用している等の場合には、認定基準を満たしてないとして、取消事由に該当してしまいます。

さらに注意を要するのは、3号です。

これは、実施者が認定を受けられない欠格事由に該当するようになった場合です。

欠格事由は、各種の刑罰を受けて5年以内の者などを規定していますが、注意が必要なのは法人の場合には、役員のうちの誰か一人でもそのような状況にある場合、欠格事由に該当することになる(技能実習法10条12号)点です。

実際に、法人の役員が業務とは関係なく相続税法違反により懲役及び罰金を受けた事案で、これを理由に認定の取消事由にあたるとして、認定を取り消されたケースがあります。

まとめ

外国人を安価な労働力として採用している企業は少なからずありますが、技能実習制度の趣旨は技能や技術の修得であり、そもそも企業が労働力を求めて利用するものではありません。

したがって、まずこの点の認識からずれてしまっていると、せっかく計画の認定を受けられても上記のような取消事由により取消処分を受けてしまう可能性が高まります。

外国人労働者とは言葉の壁や文化の違いなどから、通常の労使関係よりも気をつけることが求められますが、技能実習については、さらに制度に対する理解を深めて、不正行為等が起きないように注意・予防していく必要があります。

日ごろから予防をし、万が一問題が発生した際には、適切な対応を行えるように、弁護士等の専門家と連携をしながら事業を発展させていくことが好ましいでしょう。

技能実習をはじめとする外国人労働者の活用についてお考えであれば、ぜひ一度当事務所までご相談ください。

執筆者 金子 周平 弁護士

所属 栃木県弁護士会

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