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フランチャイズ
フランチャイズ契約の秩序を乱す行為(昭和61年10月8日大阪地裁判決)

事案の概要

原告はフランチャイズの本部Xである。フランチャイズの加盟店であるY1、Y2は、他の加盟店に対して協同組合設立を呼びかける文書を送付した。その文書は、「金儲主義第一の本部である」といった内容や、本部の運営や加盟店管理を批判する内容が書かれていた。

また、Y1、Y2はいずれも本部が指定した業者から商品を仕入れないなど、フランチャイズ契約に違反する行為を行っていた。

そこで、Xは、Y1、Y2に対して、虚偽のフランチャイズ契約の解約と、60か月分のロイヤリティの支払を求めた。

<判決の概要>

(1)フランチャイズ契約の解約
協同組合設立のための呼びかけ文書である本件文書の内容には、虚偽のものが数多く記載されているうえ、その表現をみると、「現場のことを何も知らない出来ない金儲主義第一の本部に対し、徹底的に追求し」とか、「組合は本部に対して真向から対決し」、「金儲主義の本部追放のため」という如き、単に問題点の指摘、改善ということのみにはとどまらない、極めて過激な、かつ、本件文書を読む者の感情を煽り立てるような麦現がなされている。

このような表現がなされている本件文書を素直に読む限り、本件文書は、被告らが単に問題点の指摘、改善を意図したのみではなく、他の連盟店のオーナーを煽動し、連盟店を糾合して原告と対立、対抗しようとした趣旨、内容を含まれている文書であると解釈するのが相当である。

そうして、Y1、Y2が他の加盟店に対して本件文書を送って協同組合設立を呼びかけ、その設立のための会合を開いた行為は、フランチャイズ契約に定める解約事由に該当する。

(2)ロイヤリティの支払義務
契約が解除に至った場合には、一律に60か月分のロイヤルティを損害賠償として支払わねばならないとの前記規定が高額の損害額の予定額を定めたものと解しうる余地がある。

しかしながら、本契約の締結については、いわゆる経済的に劣後的な立場にある者が優位的立場にある者から融資を受けるような場合とは異なり、被告らが原告に対し、経済的に劣後的な立場にあったとは認められないし、被告らとしても、本契約を締結して原告の連盟店の地位を取得することによって、自己の経済的利益を確保、増大させるとの利害得失を考慮して、損害額の予定についての前記規定の存在も承知したうえで、原告に強制されるというようなこともなく、任意、自主的な判断によって本契約の締結に至ったものと考えられることを斟酌すると、前記規定をもってなお暴利行為で、公序良俗に違反するものとはいい難い。

したがって、公序良俗違反との被告らの主張は採用しえない。

まとめ

フランチャイズ契約は本部と加盟店との間で長期間にわたって継続する契約です。そのため、お互いの信頼関係を維持するための様々な条項が定められており、お互いに協力して信頼関係を維持していくことが必要です。したがって、本裁判例のように、お互いの信頼関係を破壊するような行為を行った場合には、契約を解約されてもやむを得ないといえます。

確かに、中途解約時に支払う解約金を定めた条項があっても、解約金の額が高額すぎる場合には公序良俗違反として無効になることがあることもあります。

しかし、加盟店主は1人の事業主であるため、本裁判例のように解約金を支払わなければならないことも覚悟しておく必要があります。

ただし、中には不当に高額な解約金を定めたフランチャイズ契約もあります。

とても払い切れないような解約金を求められてお困りの際には、弁護士にご相談ください。

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