裁判例

Precedent

フランチャイズ
商品等の供給の停止(昭和47年5月30日東京地裁判決)

事案の概要

原告XらはYを本部とするフランチャイズの加盟店主である。

XらはYから商品を購入して、消費者に販売していた。

しかし、Xらが本部に対して商品の代金や商品の運賃を支払わなかったとして、Yは商品の出荷を停止した。

そこで、XらはYに対して、商品を供給する債務を怠ったとして、フランチャイズ契約の解約と損害賠償を請求した。

<判決の概要>

本件のように、日々一定量の商品を多数の消費者に提供する加盟店が、商品を製造業者との間で継続的に購入する契約を締結した場合、本部が商品の出荷を停止することは、加盟店にとって致命的である。

そのような場合、加盟店は商品供給が不能となり、数日を経ないで顧客の大半を失う結果になることが明らかである。

したがって、加盟店に契約上義務不履行がある場合であっても、これに対応して同時履行の抗弁権行使として本部がその後の商品提供を拒絶することができるとは限らない。

特に加盟店に軽度の債務不履行しかないのに、売主がその後の商品の出荷を停止することができるとするには疑問がある。

結局将来商品の出荷停止をされてもやむを得ないと一般的にいえる程度に義務違反行為が加盟店にあった場合に限り、本部は違反の程度に応じて将来の履行を拒絶することができるものといわなければならない。

営利活動を行う加盟店にとって最も重要なるものは代金の受領であるから、少なくとも加盟店が少額とはいえない額の代金の支払を怠ったときは、これに相当する量の商品出荷を拒絶することができるといえる。

しかし、商品送料の不履行という一般に軽微かつ附随的な義務不履行の場合に、将来の商品出荷を差止めることは相当ではない。

本件では、本部が、商品代金を支払っていない加盟店に商品を供給しないことは許される。

しかし、商品送料を支払っていない加盟店に商品を供給しないことは行きすぎであり、本部に債務不履行があるといえる。

まとめ

本部が加盟店への商品の供給を契約どおりに配送しなければ、加盟店は営業ができません。

そのような場合、本部が契約上の義務を果たしていないとして、加盟店側からフランチャイズ契約の解約ができます。

問題となるのは、加盟店が商品代金を支払わないことを理由として、本部が商品の供給を停止する場合です。

この場合、加盟店が代金を支払うという義務を果たしていない以上、本部が商品の供給義務を果たさなくても責任追及はできないので、加盟店からの解約は認められません。

ただし、加盟店が支払っていない代金が僅かであれば、商品供給はやりすぎといえます。その場合には、加盟店からの解約が認められます。

本裁判例では、フランチャイズ契約で重要な商品代金を支払わなかった加盟店について、原則どおり加盟店からの解約を認めず、商品送料を払っていないに過ぎない加盟店について、加盟店からの解約を認めました。

もっとも、商品の供給を止められた場合には、本部との関係が悪化していると思われます。

そのような本部とのやり取りは加盟店の皆さまにとって相当の負担です。

そこで、弁護士にご相談いただければ、煩わしさもなく、適切な解決が図るお手伝いができます。

加盟店とのトラブルでお困りの方は、是非弁護士にご相談ください。

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