債務整理すると携帯は引き上げられる?分割で購入できるかどうかも解説

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

「債務整理をすると携帯電話は使用できなくなるの?」
「携帯電話の利用料を滞納していたら、債務整理をすると携帯電話は引き上げられる?」

債務整理の利用を検討されている方の中には、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか?

結論をいうと、債務整理の後しばらくの間、分割購入ができなくなるというのは事実です。

しかし、だからといって携帯電話を持つ手段がなくなるわけではありません。

この記事では、債務整理をした場合の携帯電話の使用、購入について解説します。

1.債務整理が携帯電話の使用に与える影響

債務整理をすると分割払い中の携帯電話はどうなるのでしょうか。

携帯会社への滞納状況や、債務整理の条件次第で携帯電話を使用できるかどうか変わってきますので、以下のポイントを押さえておきましょう。

(1)債務整理をすると現在所持する携帯電話を使用できない

債務整理をすると、今お使いの携帯をそのまま使用し続けることができなくなる場合があります。

借入れのほかに携帯電話利用料の支払に滞納がある場合、その携帯電話の会社を債務整理の対象に含めると、携帯会社側としては利用を停止せざるを得ません。

債務整理により携帯電話を使用できなくなるのはこの場合です。

また、高額な機種の携帯電話の購入と同時に契約を締結する場合、購入代金を分割し、月々の使用料とともにその分割代金を支払っていることがよくあります。

このとき、端末の所有権自体は契約時に使用者に移るとされているため、携帯電話を引き上げられてしまうことはありません。

しかし、そのままではもちろん使用できませんし、SIMフリーとなっているのでなければ、売却することもできないものとなってしまいます。

(2)債務整理をしても携帯電話を使用する方法

携帯電話利用料の滞納がある場合、その会社相手に債務整理を行うと、利用を停止されることになります。

具体的に「債務整理を行う」というのは、何をすることを指すのでしょうか。

債務整理には、その人の状況にあわせた主に3つの方法があります。

  • 自己破産:裁判所に申立てをして、借金を免責してもらって、返済義務から開放してもらう
  • 個人再生:裁判所に申立てをして、借金を減額してもらって、返済義務を軽くする
  • 任意整理:裁判所を通さず個々の債権者と交渉して返済義務を軽くする

自己破産および個人再生は基本的にはすべての債権者が手続に参加することになりますので、携帯会社への滞納分を対象から外すことはできません。

これに対して任意整理であれば、どの債権者と交渉するかを選ぶことが可能です。

そこで、携帯会社を任意整理の対象から除外し、未納分を請求どおり支払うことができれば、そのまま携帯電話を使い続けることができます。

この場合未納分やその後の利用料については減額せず支払いを行う必要があります。

これによって、支払原資を確保できなくなると任意整理による解決が難しくなる場合があることには注意が必要です。

2.債務整理後に新しい契約を締結したい場合の注意点

次に債務整理をした後に、新しい携帯電話の利用契約を締結できるのか、解説します。

(1)信用情報機関に事故情報が登録されている期間は分割購入できない

ご自身の事故情報が信用情報機関に登録されている期間中は、携帯電話の分割購入ができなくなります。

債務整理をしたり、借入れの返済を延滞したりすると、その事実が事故情報として信用情報機関に登録されます(いわゆる「ブラックリスト入り」)。

信用情報機関とはローンの契約情報や取引情報など、加盟店から登録された個人の情報などを管理および保有している機関です。

お金を借りたり、ローンを組んだり、クレジットカードの利用を開始したりする際には、その金融機関等が信用情報機関に照会を行うことが義務付けられており、事故情報が登録されていると審査に通らなくなります。

携帯電話を分割で購入する際にも、信用情報機関への照会が行われるため、ブラックリスト入りしてしまうと、携帯電話を購入することはできなくなってしまいます。

しかし、信用情報機関による事故情報の保管には、一定の期間が定められており、その期間が経過した時点で事故情報は削除されます。

そのため、事故情報の削除を待てば、分割払いによる携帯電話の購入ができるようになります。

(2)一括で支払う

ブラックリスト入りの期間中できないのは分割での購入であって、一括で支払って購入することは可能です。

機種の購入代金を分割払いしている場合、携帯電話の利用料と機種の分割代金の支払いを同時に行っていますが、それぞれの契約は別々のものです。

分割支払については信用情報機関への照会が行われますが、携帯電話の利用契約のみの場合は照会が行われませんので、機種を一括購入すれば契約を締結することが可能です。

ただし、過去に債務整理をした携帯会社との契約は難しいので注意が必要です。

これは、任意整理、自己破産、個人再生いずれの手続を利用しても同じで、たとえば自己破産をしたために携帯電話の利用契約を以後一切できなくなるということはありません。

高額な機種を一括払いで購入することができないという場合には、中古の機種をを購入の上、SIMカードのみの契約をすることが考えられます。

まとめ

ここまで「債務整理後も携帯電話を持つ」という観点から解説してきました。

しかし、債務整理をするにあたっては、携帯電話を持つことの他にも、配慮をすべきことがたくさんあります。

任意整理をして携帯を持ち続けるのが良いのか、自己破産・個人再生をして新しく携帯を手に入れるのが良いのかの見極めは大事です。

返済できる状況ではないのに携帯を持ち続けたいからという理由だけで任意整理をすると、返済できなくなって自己破産・個人再生をすることになってしまいます。

債務整理においてどの手続をとるか、また、任意整理を選択した場合にどの債権者を対象とするか、依頼者の家計状況を含めて総合的な判断が必要になります。

債務整理の手続を利用して、借金の問題を解決したいという方は、弁護士へのご相談をおすすめします。

債務整理でこんなお悩みはありませんか?

もう何年も返済しかしていないけど、
過払金は発生していないのかな・・・
ちょっと調べてみたい

弁護士に頼むと近所や家族に
借金のことを知られてしまわないか
心配・・・

  • ✓ 過払金の無料診断サービスを行っています。手元に借入先の資料がなくても調査可能です。
  • ✓ 秘密厳守で対応していますので、ご家族や近所に知られる心配はありません。安心してご相談ください。

執筆者 野沢 大樹 弁護士

所属 栃木県弁護士会

私は、法律とは、人と人との間の紛争、個人に生じた問題を解決するために作られたツールの一つだと考えます。法律を使って紛争や問題を解決するお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。